月の騎士の戯言

アクセスカウンタ

zoom RSS 30年間の「裏」ベストメモリーBOOK30冊(43〜48:推理編)

<<   作成日時 : 2017/05/14 10:31   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

今週はミステリ系で揃えました。



第43冊:仮面山荘殺人事件



東野圭吾氏の著作で最初に読んだのは「魔球」だったので、
その本にしようかとも思いましたが、やはり特に印象に残ってる本にします。
ミステリといえば、緻密なトリックや犯人と探偵の頭脳戦なんかが
醍醐味の代表ですけど、本作はそれよりなにより『大どんでん返し』を
謳い文句にしてます。でも本当は大どんでん返しがある!ということすら知らず、
読んで気持ちよく騙された方が面白いとは思います。

けれど、本作を薦めるには、どうしたってまずそこを推すしかありません。
「普通のミステリ」だよと言っても誰も読んでくれないでしょうし。
そんなジレンマはありますけれど、ごく自然なミステリの流れに沿っているからこそ
逆転劇に繋がっているのもありますし、東野圭吾作品共通の読みやすさ、
出来の良い普遍的なエンターテイメントとして完成されているので、
安心して普通に読み進めて下さい。尚、私は清々しく受け入れて楽しみましたが、
このオチには納得いかない人が一定数いることもまた仕方ありません。



第44冊:プリズム



「うみねこのなく頃に」というノベルスゲームをプレイしていた頃、
似たような感じのミステリを読みたいな〜と思いネットで検索したら、
オススメに挙げられていて読みました。本作は一つのごく普通な事件を
短編形式に切り分けて、被害者の関係者である登場人物が、
それぞれの視点で解き明かそうとした推理の結論が示されます。
ただし、最終的にどれが正解ということは示されていません。そこが特徴です。

そのため唯一の正しい真実、答えを知りたい人にとっては
最後まで読んでも、納得いかない小説かもしれません。
が、同じ状況なのに推理する人が変化することで、ものの見方は変わる
多様性を示していて、スッキリはしないけれど、面白かったです。
これまた評価の分かれる小説ですが、個人的には「是」なミステリでした。
この本を楽しんだ辺りで、自分は本格ミステリ好きというよりも、
何らかの仕掛けがされているミステリ好きに偏ってる気がしてきました。



第45冊:連続殺人鬼 カエル男

個人的に警察官が主人公の物語はそれほど好きではない。
感情移入ができにくかったり、内部の上限関係や警察の闇的な話にはあまり興味がないからだ。
本書も、警察官がしがらみを抱えながら事件の謎を巡って奔走するし、
警察内部的な話にも深く足を踏み入れているのだが、そんなレッテルはどうでもよくなるぐらい、
事件の怪奇性と逆転の連鎖に唸らされた。
社会性のあるテーマを扱っている警察小説としても読めるが、間違いなく本格ミステリーである。
また、事件のおぞましさや、犯人の描写、そしてエピローグからは、
サスペンスの雰囲気も強く感じるので、三重の方向性で楽しめる物語になっている。

タイトルと表紙絵はどこか間の抜けた感じだが、
文体は終始硬く、決して読みやすいタイプの小説ではない。
しかし、読んでいる最中は先の展開が気になり、一気読みしてしまう没入感があった。


本を紹介する時に、ちょっとした後ろめたさを持つことってありませんか?
それは内容が凄惨だったりして、趣味を疑われるかも…と変な
見栄を張る瞬間があったりするせいなのですが、本作はまさにそれです。
タイトルを言っただけで、引かれることを少々覚悟しなければなりません。
そんな子供が悪ふざけでつけたようなタイトルの本書ですが、
内容は骨太の社会派ミステリで、グイグイ引き付ける展開から、
アッと驚くどんでん返しまで、巧妙に作りこまれてます。
なので「ミステリやサスペンスが好き!」な方には、自信を持っておススメします。
どうやら続編が描かれている動きがあるそうで、発売されるのが楽しみです。



第46冊:さよならの手口



感想はこちら
感想に書いてる通り、子供の頃に憧れた事件を華麗に解決する
探偵像とは真逆の泥臭く庶民臭い職業探偵のミステリです。
そこに甘さや救いはなく、世知辛さと大人の苦さがあって、
少年時代だったら、上手くのみ込めなかったことでしょう。
その味を噛み締めて味わえるようになった今、苦いビールは好きじゃなくとも、
苦いミステリは好きな大人になりました。



第47冊:悪の教典

この本を自分が高校生の時に読んだとしたら、
より恐ろしく、そしてより面白く感じたのではないかと思った。
なので、ホラー・サスペンスに、ある程度の耐性と興味が有り、
自我と自制心を持って、現実と空想の区別が付く高校生には、超オススメの作品。
それ以外の人は、身も心も大人になるまで読まない方がいいかもしれない。
それぐらい、この作品の物語は刺激が強い。

上巻の大筋としては、授業は楽しく、トラブルを次々に解決してくれる、
先生にも生徒にも人望のある「理想の良い先生」である蓮実が、
知能、情報、人心掌握術を使って、己の欲望を満たし、
邪魔者を排除していく。最初から異常なのではなく、
徐々にその本性を現し、行動や存在がスケールアップしていく展開は、
圧巻で恐ろしくも、引き込まれてしまうゾクゾク感がある。
また、上巻の内容は、ホラー・サスペンスだけではなく、
ミステリーとしても成立している、先の展開と謎を読む面白さがある。

蓮実の欠点は、作中にて「他者への共感能力がない」と
説明されているが、大小があれ共感能力の欠如を
持っている人は少なくはないだろう。私も共感出来てしまう点はあった。
(共感できないことに共感するのも皮肉で不可思議な話だが)
しかし、蓮実が常人から極めて逸脱しているのは、
自分の思考が「可能」と判断すれば、それが殺人という手段であっても
何の躊躇いもなく(一部例外はあるが)、即実行に移す点である。
そんな蓮見による善悪の判断基準の異常さによって、
恐怖のサイコパスは生まれ、作品の怖さに繋がっている。


上巻を読み終えた時点では、これまで読んだミステリ(サスペンス)
小説の中でも1,2位を争そって熱中しました。
ぶっちゃけ下巻は上巻ほどのテンションでは読めなかったので、
やや失速した感はありますが、それでもトータルで面白かったです。
上巻は知能戦ミステリ、下巻は殺戮サスペンスと区切って、
別扱いで読めば、ある意味で2度楽しめる作品でもあります。

話の不謹慎さでは、連続殺人鬼カエル男以上ですけれど、
世間的な知名度がある分だけ話題の出しやすさはありますね。
現実で恐ろしいのは責任能力もない無差別犯の存在だと思います。
しかし、それをミステリの読み物としてしまうと、何の動機も計画性もなくなって
物語に深みがなくなり面白くありません。その点で、本書の犯人像は
ミステリ小説としてうってつけでした。それをさらに犯人の目線で、
知能犯の裏側を描いているので興味深かったのだと思います。



第48冊:サクリファイス

ロードレースの世界を描いた青春のスポーツミステリー。
ロードレースについては丁寧かつ読みやすく描かれているので、
知識を全く持っていなくても問題なく物語を楽しめる。
タイトルの「サクリファイス(犠牲)」が、ロードレースの世界にも、
物語で起こる事件にも、ピッタリと合致している。

ミステリーとしては、警察のような事件を捜査する類は一切出ず、
謎解きをして事件を明かすことが物語のテーマではない。
事件に至るまでに綴られた人間関係と、主人公の心境を感じ取り、
事件と照らし合わせて考察するのが、本書の楽しみ方ではあると思う。
しかし、真相には驚かされた。この発想は浮かばない。
ひねくれた想像をしてしまう人には白旗である。
冒頭のプロローグも、意図的か偶然か、ある種のミスリードになっている。

どなたにもオススメできるとても良い小説なのだが、
1つだけどうしても共感できなかった点があった。
それは幼馴染で主人公の元恋人で、
この小説に出てくる唯一の女性でもある香乃の言動である。
彼女の辿る道は最初から最後まで理解できなかった。
これも意図した設定なのか、乙女心を理解できない自分のせいかは分からない。


いまでこそ『弱虫ペダル』というマンガも流行ってるみたいですし、
ロードレースの世界も本書が出た頃ほどマイナー競技ではないかもしれません。
この小説が世に出た当時はもっとマイナーな業界に思われていたはずです。
それをロードレースを実際に見たこともない作家が、
情報だけで想像して書いたのが本書です。その業界人が読んだら
どう思うか分かりませんが、素人が読むとまったく違和感なく
ロードレースの世界を知り、そこに内包された悲しくも美しい青春ミステリが
楽しめる傑作でした。この枠で紹介した本の中では最も万人におススメします。



またまた来週に。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
30年間の「裏」ベストメモリーBOOK30冊(43〜48:推理編)  月の騎士の戯言/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる