月の騎士の戯言

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zoom RSS 戯言読書録 絶叫

<<   作成日時 : 2017/02/25 08:19   >>

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悲しすぎる一人の女から映し出される物語。


著者 : 葉真中顕
光文社
発売日 : 2014-10-16



あらすじをAmazonから引用する。

平凡な女、鈴木陽子が死んだ。誰にも知られずに、何カ月も経って……。
猫に喰われた死体となって見つかった女は、どんな人生を辿ってきたのか?
陽子は標準的な家庭で生まれた。しかし、家族が離散し、独り残された陽子も
転職を繰り返し、気づけば頼るものは何もない状態に。貧困から身体を売るようになるが、
その生活にも破綻が。社会から棄てられてしまった女が、
凶悪な犯罪に手を染め堕ちていく生き地獄、その魂の叫びを描く。



このあらすじで、本書の内容はおおよそ補完してしまっている。
サスペンスとして楽しみたい方にとっては、これ以上の事前知識、
余計な味付けは必要ないと思っていただいて差し支えない。
よって、このあらすじで興味を惹かれなかった方、嫌悪感を抱いた方には
おススメはしない。他のもっと気分が明るくなる小説を読んだ方が良い。
例えばこの作品とか

ミステリとして楽しみたい方にとっては、一つ大仕掛けがあるとだけ
言っておこう。だが、それは副次的な楽しみであって、解こうとしなくて
構わない。途中の何かが具体的な伏線やヒントになってるわけでもないので、
トリックの予想はできても、論理的な推理をする意味はあまりないからだ。
その大仕掛けは賛否ありそうで、故に本書の面白さはサスペンスが大部分を
占めていると言って過言ではない。以下はサスペンス部分についてのみ記述する。



以前、紹介した代償との共通点として、タイトルが不吉な漢字二文字で、
面白いサスペンスであることは一致している。かといって、あちらを楽しめた方が
こちらも楽しめるかどうかは分からない。要するに不吉な漢字二文字のタイトルで、
面白いサスペンスでも、まったく別の趣なのである。
『代償』が共感と不憫を煽り、結末不明の対決型サスペンスとするならば、
『絶叫』は結末を知った後、徐々に絶望まで至る記憶を辿ったサスペンスである。

本書は物語の始めに「鈴木陽子は死体として見つかっている」ことが示され、
始まりから遡って、鈴木陽子の人生を俯瞰的に振り返っていく。
その人生とリンクするように、女性警察官による捜査の様子も描かれていく。
この捜査も、不可解な事件を解こうとする姿勢よりも、女性のバックボーンが
浮き彫りになり、鈴木陽子とのコントラストが明確になっていくのだ。


なぜ鈴木陽子がそのような人生を送らなければならなかったのか、
過程(あらすじに書いてる通り)の詳細を知るほどに、鈴木陽子の人生を
追体験していくかのように惹きこまれていく。
それは応援したいとか、可哀想に思うとか、そういう類のものではない。
いや、応援したいとか、可哀想に思っても構わないし、そう思う人がいても
不思議ではないのだが、どちらかと言えば途中からは自業自得であり、
因果応報な面はあるのに、それを悪だと簡潔に断罪もできない妙な納得感。
例えるならば、訳あってゴミ屋敷に住んでいる人のドキュメンタリーを
見せられているのに近いかもしれない。

はっきり言って、読み終えての爽快感はまったく残らない。
また読みたいかと問われても、正直に2回目は結構と断りたくなる。
しかし、「サスペンスを読む」という行為は、そもそもが爽快感を求めて
するものではないと思う。ドキドキ、ハラハラするスリリングさだったり、
心が締め付けられる物語の味わいこそが目的ではないか。

そうした観点であれば、その目的は十分に達しているし、
あらすじから興味を持って読んだ人であれば、満足できる内容だと思う。
要するに面白いサスペンス小説だったということだ。

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