月の騎士の戯言

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zoom RSS 戯言読書録 波よ聞いてくれ

<<   作成日時 : 2017/01/28 12:58   >>

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コンセプトは「おもしろきこともなき世をおもしろく」。


今回紹介するのは、まったくの素人女性が突然ローカルラジオ番組で
トークをする事になったのをキッカケに、ドタバタ騒動を巻き起こす漫画である。
それについては、また後ほど書くとして、まずは個人的な
「ラジオの思い出」を3つ語らせていただく。


@ジャズミュージシャンがアニメソングを紹介したラジオ

実は大昔に、この件で記事を書いている。
ハッピー☆マテリアルと菊地成孔氏

要約すると、当時はまだ珍しかった?「特定ファンのCD購買運動」により、
ハッピー☆マテリアル(魔法先生ネギま!の主題歌)が毎月のように、
売上げトップ10にランクインし、ラジオ番組で菊地成孔氏(ジャズミュージシャン)が
それを独自の切り口で取り上げた。というだけの話であるが、
ネット文化が急速に広まりつつあった当時は、割と大きな話題になった。

菊地成孔氏の切り口に不快感を覚えたり、逆に極端な購買運動を
批判する人は当時も今もいるだろうし、その事の是非はこの際どうでもいい。
ただ、個人的に菊地成孔氏のこともハッピー☆マテリアルことも
知っていた側として、究極のミスマッチ、異文化が融合した様子は面白かった。
音声だけで伝わる予定調和のなさというのか、一連のやりとりはラジオ的な
魅力に溢れていた。誰にも伝わらなくていい、至極どうでもいい思い出だが、
ラジオから連想すると、なぜか真っ先に浮かんでしまう思い出でもある。



ABL好きの一般女子が放送するネットラジオ

今の20代前半以下では知る人も少ないであろう「ねとらじ」という、
一般人がラジオ放送できるサービスがある。(今でも存在はしているようだ)
キッカケは忘れたが、大学生の頃にBL好き(そのまま自身を腐女子と
名乗っていた)一般女性が放送している番組を数回聞いた。
細かい内容は覚えていない。一つだけ覚えているBL豆知識として、
都内で旅行する様子でもないのに、コロコロ付きバックを一人で
転がしている女子はBL好き率が高い…というものであった。
(真偽は定かではないが、妙に説得力のある説だった)

そして、とにかく喋り手のテンションが
際だって高かったことは強く覚えている。何らかのBLを見ながら
その作品やキャラへの愛を語る様子は、普通に生活している状態で、
おそらく酒も入ってないのに、人はこんなに興奮できるのか!?と
カルチャーショックを受けた。しかも実家で放送してるらしく、
親が近くに来ると最高潮のハイテンションから、急に黙ったり、
ミュートにしたりするのも、やたら面白かった。このラジオをキッカケに
BLそのものよりも、「BL好き女子の生態」に、しばらく興味を持った。
(残念ながら興味を持ったからといって特に何か行動をしたわけではない)



@松村邦洋がビートたけしのオールナイトニッポン風にものまねしたラジオ



詳しい解説は省略する。
天才的なものまね芸と、声だけだからこそ想像させるラジオ特有の
面白さをあぶり出した完成形だと思う。



さて余談が過ぎたが、本作について。



舞台は北海道サッポロ。主人公の鼓田ミナレは酒場で知り合ったラジオ局員に
グチまじりに失恋トークを披露する。すると翌日、録音されていたトークがラジオの
生放送で流されてしまった。激高したミナレはラジオ局に突撃するも、
ディレクターの口車に乗せられアドリブで自身の恋愛観を叫ぶハメに。
この縁でラジオ業界から勧誘されるミナレを中心に、個性あふれる面々の人生が激しく動き出す。
まさに、波よ聞いてくれ、なのだ!


上記のAmazon引用文で、本作のストーリーはズバリ補完されている。
加えて説明することは特にない。

この漫画の何がどう面白いのか?を聞かれると、説明に窮する。
台詞回しが面白いとか、キャラの行動が面白いとか、ストーリー展開が面白いとか、
どれもまぁ外れてはいないが、この作品だけの特徴ではない。
当たっているかどうかはともかくとして、あえてこういう切り口で紹介したい。
「実際には大して面白くないことでも、程よく脚色するとこんなに面白くなる」


鼓田ミナレは特別な人生を歩んでいるわけではない。
結果として、素人なのに地方のラジオ局で番組を持ってトークすることは、
普通から外れた体験をしているが、そこに至る過程は偶然であり、
そうなったからといって彼女の生活が一変するわけでもない。
今のところ本作の物語は鼓田ミナレがラジオ界のスターダムに
のし上がるような展開にはなっていないからだ。
しかし、ラジオ番組で喋って以降、鼓田ミナレの周辺は面白くなっているし、
その面白さが少数でも世の中に発信されていることにおいて、
あの一夜以前と以後で、鼓田ミナレが住む世界は変わったとも言える。

作中では再三にわたってラジオ業界のシビアさが語られている。
それはラジオ業界を知らなくても想像できる話である。
素人が自由にネットで動画配信することが当たり前になった現代において、
あえて番組を制作してラジオを流し、それをわざわざ聞くのは、
とてつもなくマニアックな趣味といえるのかもしれない。
とはいえラジオ文化は無くなっていないし、今後もたぶん無くならない気がする。
それはラジオだけが持つ魅力があるからとも言えるし、一文化として
どれだけ廃退しても残すべきものとも言えるし、理由はいろいろあるだろう。

一つ確かなのは、前述したラジオの思い出であっても、
聞いたキッカケは偶然であって、事前の思い入れはまったくないにも関わらず、
耳に入って来る声や情報から発生したインスピレーション、
瞬間風速的に訪れたインパクトは忘れられない。
このような実体験を味わっているからか、今を生きる人々の中でも、
『ラジオリスナー』が一定以上存在することを理解できる。


鼓田ミナレのラジオにも、聞いた人をそう思わせるだけのインパクトがあるのだ。
誰にでも共感できる実体験を「声だけ」のトークによって、面白く昇華している。
それはミナレの着眼点、表現力、トークスキル等が「ラジオで聞くにちょうどいい」
からだろう。読者は本作を漫画を読んでるのだから、実際にラジオを聞くのではなく
漫画を読むことで行間から味わうしかないのに、その感度は伝わってくる。
そして、平凡な日常が豊かになるヒントが、本作には隠されていると思う。
それを知りたければ、鼓田ミナレが叫ぶ思いの丈を聞いてみるべし。

これが何よりも本作が芯を捉えて離さない部分、
『ごく日常を切り取って漫画として描くことの面白さ』であり、
『人を熱中させ読ませる技量』だと思う。とてつもなく普遍的で、
現代に引っかかりやすいポイントは特に見当たらないにも関わらず
「このマンガがすごい!」で選出されるのにも不思議はないのである。

最後に。このマンガが2018年辺りに、ドラマ化なり映画化なりされて、
世間的大ヒットを飛ばすことを予言する。当たった時はドヤ顔で自慢させてもらう。
尚、外れたとしても謝罪はしない。なぜならそうでなくとも、
漫画が面白いことには何ら変わりはないからだ。

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