月の騎士の戯言

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zoom RSS 2016年の格闘技ベストバウト10選

<<   作成日時 : 2017/01/03 12:08   >>

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2016年の格闘技試合から10選します。


コナー・マクレガー VS ネイト・ディアス
UFC196、UFC202

2016年最高、最大の2連戦と言って過言ではない大決戦。
ことの始まりはマクレガーの対戦相手に予定されていた
ライト級王者、ハファエル・ドス・アンジョスが負傷欠場し、
急遽の代役としてネイト・ディアス戦が決定した。
スクランブル出場かつ、試合自体も久々だったネイトは、
階級が上のウェルター級戦とはいえ、さすがに準備不足で
厳しい戦うになると思われたが、その予想は覆される。

2Rの中盤まで圧倒的に優勢だったマクレガーの猛攻を耐え凌ぎ、
パンチ一発で形成逆転。最後はチョークでタップを奪った。
この負けで絶対的ポジションだったマクレガーの存在感は一瞬揺らいだ。
代わりに、これまでは兄ニック・ディアスの存在感に比べると、
脇役だった弟のネイト・ディアスが突如として、主役に躍り出た。

この敗北を払拭するためにマクレガーはすぐさま再戦を直訴。
実現前にマクレガーの引退騒動による日程変更などの
紆余曲折はあったが、UFC202で再戦は行われる運びになった。
マクレガーにしてみれば、勝てば1戦目の負けを取り戻せるが、
同じ相手に二度負ければ、あの絶対的な立場は二度と戻ってこない
ネイトにしてみれば1戦目に勝ってる上に、更なる大金を稼ぐチャンス。
PPVの売上げ目線でも、これ以上ないゴールデンカードとなった。

2試合目も、同様に序盤はマクレガーが押せ押せで何度もダウンを奪う。
が、1戦目で学習したのか、フィニッシュには行かず様子を伺いながらの戦い。
ネイトはラウンドを重ねるごとに顔面が血みどろになるも、
なぜか血に染まるほど動きが良くなっていき、スタミナを消耗した
マクレガーに食らいつく。そんな消耗戦を5R続けた結果、
判定は辛くもマクレガーに上がった。この大戦争を期待していた人にとっては
それ以上、再戦を望まなかった人をも黙らせる戦いであった。

同じ時期、オリンピックの聖なる戦いを見た人々にとって、
試合前に罵り合いペットボトルをぶん投げ、試合中は中指を突き立てながら
血みどろの末に殴り合って、試合後のインタビューでは「ファッ○、シッ○」
を叫ぶ様子は、行儀の良い方々にとって悪夢でしかないかもしれない。
しかし、これもまた紛れもなく意地と誇りをかけた戦いの一つであり、
ブラッドウォー好きにとっては最高のエンターテイメントショーであった。



アンジェラ・リー VS VV Mei
OneFC シンガポール大会

アンジェラ・リー。若くしてルックスと格闘技の才能を
兼ねそろえたシンガポールのスター候補。
彼女がチャンピオンになる、いや、するために組まれたような試合。
入場前の威風堂々とした立ち振る舞いには、輝かしい未来しか映ってないのだろう。
VV Mei。日本のMMAで長く活躍している小柄ながら気持ちを前面に
押し出すファイターであり、これまでにKO・一本負けは一度もない。
すでにベテランの域に達しているが、この1戦もかませ役では終わらせない
実績とメンタリティを持っている。大人になった今、その泥臭い役回りにも
本気で感情移入ができるようになった。

はたして試合は5R、シーソーゲームの大熱戦であった。
1,2Rの攻防でリーは無理にでもスターにのし上げたいだけではなく
実力を持っていることを示し、VV Meiはそれに対抗できる事を示した。
3R開始早々にリーはダウンを奪われ、2度ほど腕を極められかけた。
にも関わらず、あきらめないメンタリティで生き残った。
努力も苦労もしてない19歳の女の子が、それに耐えられるわけがない。
あるいは、本当の負けず嫌いがそれを支えたのか。
4、5Rは攻勢に転じて、ひたすらサブミッションを仕掛ける。
今度は1度もギブアップする様子を見せず
凌ぎ切ったVV.Meiの根性はとてつもなかった。

試合は判定ながら、用意されたシナリオ通りにリーが勝利した。
しかし、この試合を見て「予想通りの結果だ」などと陳腐な事を
言えるがない。試合後にノーサイドで一枚の写真に納まった二人の姿は、
天晴れの一言であった。この二人の10分の1のエネルギーでも
何かに発揮できたら、大抵の事は上手くゆくのではないだろうか。
一昔前なら知ることもない海の向こうの試合が、
難をせずネットで無料視聴できるのだから良い時代である。



ハファエル・ドス・アンジョス VS エディ・アルバレス
UFC Fight Night 90

エディ・アルバレス。PRIDE無き後の日本格闘技を熱心に見ていた人に
とっては思い入れのある選手である。DREAMでアンドレ・ジダを
一方的に殴り倒し、ヨアキム・ハンセンと名勝負を繰り広げ、
川尻、青木、菊野とも対戦した。そのどれもが、パンチを主体に
アグレッシブな激闘型で、また次の試合を見たいと思わせる選手だった。
その後、ベラトールで、マイケル・チャンドラーとの2度に渡る死闘があって、
契約問題で揉めることもあったが、2014年、ついにUFCにたどり着いた
サクセスストーリーは、日本の格闘技ファンが感情移入するに足るものだ。

1戦目のドナルド・セラーニ戦ではリーチに翻弄され判定負けするも、
その後は戦い方を激闘型から、しぶとく生き残るスタイルに変え、
ギルバート・メレンデス、アンソニー・ペティスのトップ2人を下して、
タイトルマッチにたどり着いた。そして、タイトルマッチでかつての
スタイルを戻し、ハファエル・ドス・アンジョスを一気呵成になぎ倒した。
こういう時、格闘技ファンはここぞとばかりにドヤ顔で叫ぶのだ。
「オレの、オレたちの、エディ・アルバレスがやったぞ!」と。



ヨアナ・イェンジェイチック VS クラウディア・ガデーリャ
The Ultimate Fighter 23 Finale

この二人の1戦目は、2014年のベストバウト10戦で取り上げた。
3Rのノンタイトルマッチだったが、男子と何ら遜色のない技術と
男子以上の意地の張り合いは、鮮血にまみれたブラッディな姿も
相まって、MMAの本質的な面白さが詰まっていた。
同時に、試合終了直後のダーティーな場面は、二人の再戦が近い将来
行われることを予見していた。

今回は5Rのリターンマッチ。果たして、その戦いは前回を超える壮絶さだった。
試合開始直後にクラウディアが、フラッシュダウン気味にヨアナを転ばせ、
2R終了まではしつこくテイクダウンを仕掛けることでペースを握る。
だが、3Rになってもまったく動きが衰えないどころかキレが増してきたヨアナは、
圧倒的な手数で盛り返す。4R以降は棒立ち状態になりながらも
攻撃を返すクラウディアを冷徹に振り切り、防衛を果たした。
これで二人の戦績はヨアナの2勝になってしまったわけだが、
その差は微差であり、3戦目を見たいかと問われればYESである。
この二人ほど残酷かつ見応えのある格闘技をやってのけるのは、
性別や階級に関係なく、早々見れるものではない希有なマッチアップだ。



スワンテット・ナイン VS スーパーボウル
第一回ラウェイワールドチャンピオンシップ=Lethwei WC

格闘技を趣味で見ていると、感覚が麻痺しているのか
試合でのちょっとやそっとの残酷さでは動じなくなる。
(誤解ないように言っておくと、日常の間近で見る喧嘩になれるわけではないし、
グロ耐性が付くのとはまったくの別物である)
さて、Abemaで放送していた『ラウェイ』というミャンマーの国技は、
久しぶりに格闘技を見慣れない頃のショッキングさに似た感覚を味わえた。

ラウェイについて簡単に説明すると、まず試合は素手(バンテージだけ巻いてる)
で行われる。ヒジ・ヒザは当然有効で、過激と言われる他の格闘技でも
禁止されている頭突きさえ認められ、ローブローさえ故意でなければ流される。
さらにはダウンしても、失神さえしても、選手やセコンドが続行を示せば
インターバル後に再度試合は始まり、ギブアップの意思を示すまで
終わらない。判定はなく、どちらもギブアップしなければ引き分けで終わる。

という、めちゃくちゃ過ぎるルールであるが、格闘技の恐ろしさと魅力を
凝縮している部分もあって、興味本位で試合を見た。
大会の第1試合、ラウェイのミャンマー国内王者と紹介された16歳のナインと、
外敵となったラオス出身のスーパーボウル(凄い名前)の対戦。
1Rは互いにムエタイ的なテクニックを使い、素手であること以外は、
さほどラウェイ感はなかった。第2Rになって、スーパーボウルの
フックが顎を打ち抜き、ナインは完全失神ダウン。
普通ならばレフリーが止めて即試合終了となる。
しかし、インターバルを取った後、意識を取り戻したナインはセコンドに
抱えられ、試合は続いてしまう。とはいえ、一度失神した選手が逆転できる
わけもなく、数十秒後に再度ダウンして、今度こそ試合は止められた。

わずか16歳の少年がこんなことをしているのは推奨されるわけもない
だろうが、ミャンマーではこれが国技として認められているのである。
ミャンマーの選手が誇りを持っている証拠に、試合が終わった後は勝敗に関係なく、
相手を気遣い称え合う姿勢を共通して持っていた。
そのまま引きずりこまれるように、最後の試合まで見てしまった。
解説の我龍真吾が、楽しくてしょうがない様子で自身のトンパチな
エピソードを交えて、嬉々として解説していたのも印象的だった。
人生で必要な経験であるかはともかく、何とも言えない貴重な時間であった。



山本 アーセン VS 才賀 紀左衛門
RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2016 無差別級トーナメント 開幕戦

MMAキャリアからすれば、グリーンボーイ(新人)といっていい二人。
しかし、その佇まいには、新人的な初々しさよりも、
プロとしての風格が漂っていた。山本アーセンはレスリング界では
有名な山本一族として常に戦うことをアイデンティティーとした環境で生きてきた。
才賀紀左衛門はK-1の舞台でキャラと打撃技術を確立させ、
あびる優の夫という、地上波的なヒールターンで注目を浴びた。

これで試合がしょうもなかったら、MMA技術が足りないカードを組むなとか、
話題性重視で滑ってるとか、俺の方が面白い試合とか強いとか、
視聴者も格闘家も言いたい放題だっただろう。
だが、結果として、二人の戦いは同大会内で最もスイングして面白かった。
これでは文句はつけられないだろう。RIZINは世界最強を決める目的ではなく、
生き様や誇りをぶつける、エンターテイメントの興行なのだから正しいのだ。



武尊 VS 小澤 海斗
K-1 WORLD GP 2016 IN JAPAN〜-65kg世界最強決定トーナメント〜

今から15年ほど前、同じK-1の舞台で魔裟斗VS小比類巻という
因縁めいたカードを煽る番組がTBSで放送された。
それは二人が決勝戦で戦うまでを描いたスポーツドキュメンタリー風ではあったが、
テレビ的な演出にまんまとやられ、試合そのものの面白さよりも、
相容れない生き様を見せながら対立し、リングで決着をつけんとする姿に、
中学生だった少年は素直に熱くなってしまった。

時は流れ、K−1は一時の休眠から体制を入れ替え、
TBSで流れていた戦いは、AbemaTV(ネットテレビ)で見れるようになった。
武尊と小澤海斗は、15年前の魔裟斗と小比類巻のように火花を散らすが、
そこにテレビ的な演出や思惑は不要となった。なぜならば本当に好きな人しか
その試合を見る環境ではなくなったからだ。それでも、純粋に互いの存在が
気に入らないからこそ、本音の挑発が飛び出たのだろう。
若者らしい健全な風景であったともいえる。
願わくば15年前の少年のように、たまたまAbemaTVをザッピングして
見ていた暇な中学生が、この戦いにチャンネルを合わせ、
格闘技に興味を持つようになってくれれば、素晴らしいと思う。



内藤 のび太 VS ジョシュア・パシオ
ONE: STATE OF WARRIORS

「のび太」は、本名ではなくリングネームである。
知らない人は少し検索してもらえれば分かるが、その佇まいや発言は、
まさにあの「のび太」そのもので、おあつらえ向きのリングネームだ。
戦い方も、未来に帰ってしまうドラえもんを安心させるため、
ジャイアンにひたすらしがみ付いて勝ったあのスタイルそのまま。
とにかくしつこく、相手が根負けするほどにしがみつき、
テイクダウンを狙い、何度失敗してもフルラウンドそれを続ける。

格闘技のカッコよさや不良的なイメージとはまったく正反対。
おどおどした自信のなさと泥臭さ。それでも最後に勝って、
世界チャンピオンにまでなってしまう姿は、感動するはずだ。
2017年Rizinに登場して、パンクラスのあの男と対戦する姿を見たい。



北岡 悟 VS ダロン・クルックシャンク
RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2016 無差別級トーナメント 2ndRound

北岡悟の矜持と意地が出た、とにかくアッパレな試合であった。
煽りVだけでも存分に伝わるように、北岡悟は2008年の戦極王者に
なってからも国内トップで戦い続けてきた。しかし、それに満足しないどころか
総合格闘技の道を追求していくあまり、極端な言動は増していくばかりだった。
彼は試合前から感情を爆発させる。会見でも不快感があれば露骨に表し、
計量で相手がパスできなければ罵り、入場で自分の世界に入りきった表情を見せる。
これほど感情豊かに、1試合の喜怒哀楽を表現する選手は珍しい。

人によっては不快かもしれないし、その言動でアンチが増えるのも仕方ない。
そんな事は気にしない。いや、むしろ勝った後にエゴサをして、そんな否定派、
アンチを黙らせたり、遠吠えする様子を楽しむとさえ公言している。
北岡悟は信念を絶対曲げず、確かな結果を残してきた。
2016年にはジムを設立し、30代の後半になっても自分のジムに住み込んで
自分を追い込み、ジムの仲間達と格闘技の世界で生きてきたのだ。

ダロン・クルックシャンクはUFCをリリースされたものの、
特徴的なファイトスタイルと好試合の多さがによって、
時代が違えば日本でヨアキム・ハンセン、JZカルバンのような
存在になってもおかしくない紛れもない強豪である。
その相手に真っ向から打撃で引かず、得意のフロントチョークで切って落とす。
さらには大事な年末のRIZIN第1試合でやってのけた。見事としか言い様がない。
2017年も北岡悟は大人げなく自分を曝け出していくだろう。
勝てばこれ以上なく喜び、負ければどん底にたたき落とされるだろう。
総合格闘技で見たいのは、そういう生き様なのだ。
だから北岡悟からは常に目が離せない。



川尻 達也 VS クロン・グレイシー
RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2016 無差別級トーナメント FinalRound

格闘技マニアも一般層も取り込め、勝敗の観点も興味深いことから、
今のRIZINが組めるベストで、楽しみな対戦カード。
というのが率直な印象であったが、楽しみの内訳としては川尻寄りだった。
総合格闘技の時代を生き続け、助演男優賞として数々の試合を見せてくれた
川尻の日本凱旋。それが主題のテーマであると決めつけていたところがあった。
つまりは、クロンはさすがに川尻には勝てないだろう。
KO負けはしないまでも、グラウンドで上をキープした川尻が判定で勝つ。

もちろん川尻が絶対に勝てると言い切れるほど楽な相手ではないことも
分かっていた。寝技で油断がならないことも分かっていた。
とはいえクロンはまだ4戦目、過去3戦の相手はグリーンボーイや階級下の選手
であって百戦錬磨の相手と削り合いを経験していなかったのだから、
かつて幻想の象徴だったグレイシー相手にしぶとく勝って吠える姿を見れると
期待することは間違いでないはずだった。

しかし、結果は驚愕の一言。UFCでの戦いを見ていても、負けることはあっても
「勝てる相手ではなかった」と思ってしまう試合はなかった川尻が、
この試合が終わった率直な感想として「勝てる相手ではなかった」と、
思ってしまった。それほどクロンとは明確な差があったように感じた。
まずスタンドの打撃が互角、むしろあのまま打ち合いを続ける展開であっても
クロンが勝ったかもしれない。ディアス兄弟仕込みのダーティーボクシングで、
一発で失神させるような攻撃ではないが、コツコツと消耗させるに有効であった。
そして今時では珍しいグラウンドでの引き込みを見せても、
逃げの一手ではないことは明確で、会場も解説席も、川尻の危機を
悟ったような雰囲気に包まれていた。最後は冷静沈着にゲームプラン通りに
一本を奪って勝った様子は、とてもキャリア4戦の寝技だけの選手ではなかった。

グレイシー神話。格闘技を熱心に見始めた2002年には、
すでに桜庭和志がグレイシーハンティングを終え、ヒクソンの現役復帰もなくなり、
過去の産物として取り扱っていた幻想が、2016年にこれほど説得力ある
形で復活するから、総合格闘技は分からない。もしも数年後、
クロンがUFC王者になることがあるとするならば、今度は1997年の
高田VSヒクソンまで戻ってその歴史を再考しなければならないかもしれない。
そんな妄想を抱かせるほどに説得力のあるグレイシー幻想が蘇った。



2017年も一つでも良き試合が見れることを願っています。

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