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zoom RSS 少女漫画探訪 第42回:『どうにもこうにも』と『はしるでござる』

<<   作成日時 : 2016/11/03 12:25   >>

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同じ作者さんの名作漫画をまとめて。







両作品とも、Wikiに情報がないので自己流のあらすじを。


『どうにもこうにも』のあらすじ

新人漫画賞を受賞し、華々しくデビューを飾ったまおだったが、
その後は芽が出ない漫画家として不安な日常を過ごす。
そんな折、元編集者のマンガ専門学校の講師である氷山に出会い、
専門学校の講師を務めることになる。そして学校の生徒に触れ合う内、
自身の漫画道を見直していくことになる。


『はしるでござる』のあらすじ

江戸で飛脚を生業としている男は次男の死産に立ち会ってしまう。
長男が天国の次男に向けて健気に文を書くが、渡せる方法もなく、
悲しみに暮れる男はあてもなく走り出すとタイムスリップして現代へ。
そこで次男の生まれ変わりになった男と出会い、成り行きで男は
現代のマラソン大会に出場することになる。



前者はリアリティのある漫画家と編集者の苦悩と再生を描いた作品。
後者は江戸の飛脚が現代のマラソンに出るSFコメディを描いた作品。
毛色は違いますけど、同じ作者さんが描いてるので共通点はあります。

どん底に近いマイナスの感情から始まる物語。
表では明るい軽快なコメディ調を崩さない。
グッと惹きこまれるドラマティックな展開がある。
最後は感動してしまうラストにまとまっている。

以上、面白い漫画のポイントをバッチリ抑えています。
その中で、両作品の具体的な魅力を見ていきましょう。


『どうにもこうにも』は、行き詰まってしまった漫画家と編集者が、
「どうにかこうにか」再生していこうと前を向こうとする話です。

漫画で描かれるテーマは無限にありますけど、漫画家の日常こそ、
漫画家が最も描きやすく、ある意味で描きにくいテーマかもしれません。
描けばリアリティが伝わることは間違いないけれど、
現実を知ってるだけに、空想だけで描けないジレンマもあるはず。
本作では、真正面からヒットできない漫画家と、非情になる編集者の
側面を描いているので、何とも言えない苦しさが伝わります。
漫画家は面白い漫画を描きたい、読者に読んで欲しいから一生懸命描く。
編集者は時にそれを切り捨てて、雑誌のために描く漫画の方針を
曲げさせなければならない。

目的は近いはずで交われない両者の立場や意思に切り込み、
シリアスだったり、シビアだったり、心締め付ける場面があります。
でも前向きに漫画に関わり、漫画で生きていく人々の姿が見えてくることで、
救われる場面もあります。その力強い言葉は胸に刺さります。
一本道ではなくても、紆余曲折あっても、迷った末にたどり着ける
場所があればそれでいいんじゃないかと
思える漫画でした。

ちなみに世知辛い部分だけでなく、専門学校生たちから見た
夢や希望のある漫画家像も描かれていたりしますし、
キャラ達にそれぞれに癖があって、コメディ仕立てにしてるので、
決して暗くて重たい雰囲気の漫画ではありませんから、ご心配なく。




『はしるでござる』は言わば『SFコメディ』のジャンルになるので、
少女漫画らしい男女のラブ要素はほとんどございません。
(一応女子は出てくるし、主人公は好かれてたりはしますが)
恋愛よりも親子愛優先、いやコメディ優先と言った方が正しいです。
コメディ漫画で必ず重要になる笑い(コメディ)のセンスがあることは
まず1話を読めば伝わります。

物語には芯となるストーリーはブレずにありますし、
所々でいい話にもなってるのですけど、『どうにもこうにも』のような
深いメッセージを伝えるような作品ではなく、
漫画というエンターテイメントに徹した作品という印象です。
たとえるならば、常に悪ふざけしているような人が
肝心なところで真面目に泣かせるスピーチをした
というイメージです。

物語はSFらしくハチャメチャなのに、見事綺麗に1巻で収まっているので、
読み終えてスッとします。妙に都合がいいとか、そもそもありえないとか、
そういう無粋な文句を封殺するだけの説得力があるのです。
外野として勝手な事を言うと、なぜ実写化するのか意味不明な作品より、
どうせ実写化するなら、こういう作品を実写化すべきだと思います。
いろいろとちょうどいいと思うんですけどね。



残念ながら、町の書店にはあまり流通していないかもしれませんが、
電子書籍ならお手軽な価格で手に入りますので、
隠れた名作として、是非お手にとっていただきたい逸品でございます。

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