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zoom RSS 戯言読書録 空気を読んではいけない

<<   作成日時 : 2016/10/15 08:01   >>

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青木真也という格闘家の人生論。





青木真也の試合を初めて見たのは、今から約10年前のこと。
2006年8月、PRIDE武士道でのジェイソン・ブラック戦だった。
結果は鮮やかな三角締めで一本勝ち。以降、出場したPRIDEでの
3試合はすべて会場観戦し、衝撃的な一本勝ちを目撃した。
仮に2007年以降もPRIDEが続いていればメインストリームにいるべき
選手だったことは疑いべくもない。

だが、その希望は、PRIDEの買収によって絶たれる。
この出来事と『やれんのか!』開催までの空白の期間によって、
青木真也のメンタルは大きく変化した事は、本書で触れられている。
それは信じていたものが消えてしまった喪失感の大きさを物語っている。

DREAM発足の1年目、大黒柱として八面六臂の活躍をする。
しかし2年目以降、徐々に青木真也像は変容してくる。
歯に着せぬ言動、賛否ある試合内容で批判も増え始める。
2009年、2010年大晦日の大事件で、それは爆発していった。
そして、PRIDEに続きDREAMも休止することになり、ONE FCに移籍する。

その後は常にUFC参戦を熱望されているが、現時点でその動きは見られず、
日本ではIGFでプロレスをする姿もあって、物議を醸している。
それでも世界的評価として、日本格闘技界の1プレイヤーで
あることは揺るぎない事実であり、唯一無二の格闘家である。



以上、青木真也の経歴をだいたい述べた。
世間一般での知名度は果たしてどんなものであるかは
よく分からない。格闘技を知らない、興味ない人にとっては
名前も顔もまったく知らないのが普通かもしれない。

個人的にはこれまで会場観戦をして、最も多くの回数見たのが、
青木真也の試合であり、その思い出は深い。
一時期は格闘技選手の中でも、特別に感情移入して見ていたこともあった。
思い出は深く、思い入れもあるが、ベストバウトを選べと言われると、
なぜかすぐには浮かばない。勝った試合は短時間で一本を決めるか、
試合全体を支配し、相手の光を完全に消すか、どちらかが多いために、
試合が均衡したり、互いにスイングする勝負にはならないからだ。
一つ挙げるとすれば、DREAMのJZカルバン戦だろうか。
1試合目、2試合目を含めて、あれが最も均衡した試合だったように思える。


逆に負けた試合では、結果として話題を浚うことが多かった。
VS外国人戦はともかく、日本人に負けた数少ない例である
マッハ戦、長島☆自演乙戦は、ヒールに徹していたこともあって
KO負けによって、会場は熱を生み、盛り上がりを見せた。
それはあえて役割を演じたのか、本音と本質を見せつけただけなのか、
ともかく忘れられない試合になっていることは間違いない。

彼の発言はファンや他のファイターを突き放す内容も多く、
業界関係者でも意図を汲み取れないことも少なくない。
そんな青木真也が考えてきたこと、本音が本書には記されている。
その内容を要約すると、タイトルの「空気を読んではいけない」になる。



日本社会では「空気を読む」ことは重要視される。
例えば、飲み会を例にとっても「空気を読む」だらけである。
上司や世話になってる人から誘われたら断りにくい。
皆が揃えてる中で1杯目にビール以外を頼みにくい。
煙草の煙が嫌でも「吸わないで」とは言いにくい。

それらに青木真也はまったく付き合う必要はないと言う。
すべてはっきりとノーを伝え、一切空気を読むことはない。
飲み会どころか食事の同席すら断り、借りを作らない。
人との縁はギブアンドテイクであって、情に流されることはない。


幼少期のトラウマになった事件。柔道時代の受け入れられない扱い、
そしてPRIDE・DREAMで味わった絶頂と絶望。
それらの経験があって、青木真也は「空気を読まない」ことを良しとする。
批判も承知の上で確固たる意志があって、そうしているのだろう。

本書に書かれていることに対して、万人の理解は求めてないのだろう。
ファンや読者が「嫌いになった」とか「全然共感できない」と思うのは
勝手だと思う。しかし、同じ格闘技のジャンルで生きる選手達は、
同等以上の実績を残さない限り、青木真也を否定することはできない。
なぜならば青木真也は日本トップの評価を受けていて、
格闘家としてオンリーワンの絶対的存在であることは事実だからである。


また、青木真也は自分以外どうでもいいという、冷たい男ではない。
あくまで自分にデメリットである事を排除したり、必要以上の関係を
持とうとしないだけであって、裏をかえせばすべてに平等でもある。
自分に正直で、絶対的に信念は曲げないが故、自分が信じた人には、
忠義を尽くす。ビジネスであれば好きも嫌いもなく合理的に判断し、
自分が定めたルールやノルマに沿って取捨選択をしているのだ。
本書の最後には家族、トレーナー、本書に携わった人と読んだ人に対して、
紋切型ではあるが丁寧に感謝を述べている様に、
家族やトレーナーのことは信頼してるし、前向きな人間関係もあるのだ。

この生き方が正しいかは分からない。それで幸せになれるとは限らない。
格闘家という、最後は自分の力で勝ち取れば生き残れる世界だからこそ
通用している理論もあるだろう。社会ではどうあれ気に食わない相手にも
平身低頭で日常から付き合っていくしかない場面は多々ある。

それでも、ふと日常に息苦しくなった時。
これでいいのかと悩んだ時。
周囲に合わせることに疲れた時。

青木真也の生き様は、何かの参考になるかもしれない。
「空気は読んではいけない」の心意気。
空気を読まずに生きてしまえば楽になる瞬間は絶対にあるからだ。

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