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zoom RSS 少女漫画探訪 第40回:11人いる!

<<   作成日時 : 2016/09/10 08:53   >>

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過去の歴史的名作に触れます。





本作を読んだそもそものキッカケは『ネオ寄生獣』という
様々な作家が寄生獣を原作にしたスピンオフを描いた作品集で、
萩尾望都先生の事を知った事に始まります。




少女漫画の世界的には、大変著名な作家さんだそうですが、
お恥ずかしいことに『少女漫画探訪』と謳っているにも関わらず、
存じ上げませんでした。この機会に読んでみようと思い、
1冊で読める名作として、本作を選んだ次第です。

テレビドラマ・映画・舞台化にもなっている有名作として、
昔からファンの方には何を今更だと思いますが、
今回取り上げてさせていただきます。



あらすじはお決まりのWikiから引用を。

宇宙大学の受験生である主人公タダトス・レーン(タダ)は、
最終テストである実技試験(協調性のテスト)として、筆記試験の成績に基づいて組まれた
10人チームのメンバーとなり、漂泊中と仮定して外部との連絡を断たれた
宇宙船・白(はく)号の乗員として53日間船内にとどまるよう言い渡される。

だが白号に乗り込んでみると、そこにいたのはなぜか1人多い11人。
大学側に事態を知らせようにも連絡手段は司令室(ブリッジ)に設置された
非常用赤ボタンのみであり、押せばチーム全員が不合格になってしまう。
試験合格のため、11人は互いに疑念を抱きながらも規定の53日間を過ごすことに決める。




あらすじを読んで、少女漫画というよりは
どこか手塚治虫作品的な印象を勝手に受けました。

本作には地球人は出てこず、様々な星から集まった宇宙人達の
コミュニケーションであるため、極めて強いSF色が押し出されています。
SF色は強いものの、10人しかいないはずの宇宙船に11人が紛れ、
様々なトラブルが起きてしまう設定は分かりやすく、
SF特有の独自な世界観を理解する前に、物語へ入りやすいです。



内部の結束や分裂がある人間関係を主軸にした物語は、
様々な欲望や邪念が絡み合って発生するものだと思います。
しかし、チーム内の仲違いこそありますけれど、
そういったあからさまに危険な空気はありません。
タイトル通りで、ごく単純に『11人いる!』ことだけが、
不穏の原因として一貫しているのです。みんな目的は同じ、
「試験に合格したい」であり、そのために他者を蹴落とすことの
メリットもないので、思惑は最初から最後まで一致しているのです。

では、なぜ11人目は入り込み、何を目的としているのか…。
『閉鎖空間』『招かれざる客』『文化の違い』という王道の
サスペンス要因が無理・無駄なく敷き詰められているので、
矛盾した言葉ですが、サスペンスを安心して楽しむことができるのです。
それぞれのキャラには特徴があって、怪しい動きを見せたりするので、
誰が11人目かを読者が推理する楽しみも大いにあります。
(Wikiにはあっさりネタバレされてるのでご注意を)

そこに主人公タダとヒロイン(?)フロルの変わった恋話が、
少女漫画としての彩を添えます。フロルは成長すると、
自分で男になるか、女になるか選べるという宇宙人特有の体質で、
最初は絶対男になる!と頑なだったのが、タダと交流して
打ち解けていくことで、少しずつ考えが変わっていくのです。
何十年経っても変わらない乙女心の演出であり、
本作のジャンルを少女漫画として相違ないポイントです。



宇宙船生活のその後を描いた、「続・11人いる! 東の地平・西の永遠」では、
宇宙国同士の覇権争いや抗争が描かれています。
舞台や設定は変わって、SF色から王国ファンタジー色が強くなるので、
別物としても読めますし、キャラ達のその後、成長譚としても読めます。

そして「11人いる!」では見られなかった欲望や邪念が渦巻き、
タダとフロルの関係にも進展が見られ、少女漫画の真骨頂である
登場キャラによる繊細な感情を主軸にした物語が展開されます。
「11人いる!」では目的が一致していたのが、それぞれの目的が
異なると、これだけ拗れてしまう。という対比作としても読めました。


おまけの「スペース ストリート」と併せて、共通の世界観を楽しみながら、
SFサスペンス、王国ファンタジー、コメディと様々な側面があるので、
これ1冊で入門書としては間違いないと思います。

今から40年前の作品であるにも関わらず、漫画のエッセンスが
ぎっしり詰まっていて、ストーリーに古臭さはありません。
(セリフは良い意味で時代は感じますけれど)
ほんの一端だけですが、「少女漫画の神様」と呼ばれる所以が
分かりました。ネオ寄生獣のスピンオフもとても良かったです。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
お久しぶりです。萩尾望都先生ではぜひ「ポーの一族」を!少女漫画バンパイア物の原点な気がします。
SAMI
2016/11/03 19:41
SAMIさんコメントありがとうございます。
返信遅くなりました。
「ポーの一族」は名前だけなら、わりとよく聞く
作品ですが、ヴァンパイアものとは知りませんでした!
今度手にとってみたいと思います。
月の騎士
2016/11/08 07:55

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