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zoom RSS 戯言読書録 雨の日も神様と相撲を

<<   作成日時 : 2016/07/17 07:14   >>

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好きな小説家・漫画原作者の最新作を語る。





まずは本作の大まかなあらすじをAmazonより引用させていただく。

「頼みがある。相撲を教えてくれないか?」神様がそう言った。
子供の頃から相撲漬けの生活を送ってきた僕が転校したド田舎。
そこは何と、相撲好きのカエルの神様が崇められている村だった!
村を治める一族の娘・真夏と、喋るカエルに出会った僕は、
知恵と知識を見込まれ、外来種のカエルとの相撲勝負を手助けすることに。
同時に、隣村で死体が発見され、もつれ合った事件は思わぬ方向へ!?


城平京氏のことをまったくご存じない方にとっては、
このあらすじを読んでも、疑問が浮かぶばかりだろう。
神様?相撲?喋るカエル?隣村で殺人事件?
それぞれ何も噛み合ってないし、絡み合うようにも思えない。

この荒唐無稽さは城平京が描く作品にとっては平常運転である。
一見意味不明なことにも理由があったり、引っかかるワードがあっても
ごくごくマニアックな小ネタで深い意味はなかったり。
シリアスなようですっとぼけていて、切なくほろ苦いかと思いきや少し甘い。
一つ一つのピントが合わないまま話は進んでも、物語は複雑にならない。


上記のあらすじを、さらにかみ砕いて書いてみる。
相撲が上手い少年がド田舎に転校したら、
言葉を喋るカエルの神様がいて、成り行きで相撲を教える羽目になる。
一方隣村では事件が起き、その場には毒をもつカエルが発見される。
少年はカエルに相撲を教えつつ、これも成り行きで事件にも首を突っ込むが……。

どうだろうか。改めて書いてみてもちっとも複雑ではない。
最初はまったくかみあわない事でも、読み進めていくと伝奇、ミステリ、
スポーツ(相撲)論と、様々な要素が手軽にさっくりと楽しめてしまう。
そして謎も伏線も最終的には、一本の線として繋がり綺麗に収束する。


さて、本作は少女漫画を読む女性にも大変オススメである。
最近はスー女だとかで相撲人気が高まっているから。というわけでなく、
案外カエルの描写が可愛いから。というわけでもなく、
本作は恋愛小説でもあるからだ。ネタバレになってしまう事に
抵触しているので詳しくは書けないが、読み終えてみれば
相撲もカエルもミステリもすべて彩を添える前菜であって、
「恋愛」の部分こそが、本作のメインディッシュと言って差し支えない。

改めてあらすじを読んでも、どこに恋愛要素があるのか?
と訝しがられるだろう。まさか男の子とカエルが…なんて
想像をされたならばご安心を。(中にはその方が良いなんて好奇な方も?)
こっそり「真夏」という女の子の名前は出てきている。

ともかく相撲にもカエルにもミステリにも興味を注がれない人は、
少年少女の会話や関係性に注目して読んでみれば、
古典的な少女漫画と違わぬ、純愛小説としても読めるはず。
そのついでに、相撲やカエルやミステリに興味を持ち始めたら、
尚のこと面白くなるだろう。ページ数も多くなく、クセも少ないので、
城平京作品の入門書としても推薦できる一冊だ。



過去のブログで何度か書いているが、高校生の時に
「スパイラル〜推理の絆〜」と「名探偵に薔薇を」を読んで以来、
城平京氏のファンとして、毎年のように新作を待ち望んでいた。


城平京氏の作品が好きな理由を考えて挙げてみる。

@主人公に共感できる
Aヒロインにも共感できる
B会話が面白い
Cミステリとして一本取られる
D話のオチに納得できる

どれも間違ってはいないが、城平京作品でなくても当てはまりそうで、
特別に好きな理由とは言い難い。もう少し「城平京氏の作品」っぽい
特有の要素を入れて解釈してみよう。


@主人公は消極的な姿勢だが、なんだかんだ腰を上げて取り組む。
でもそれを努力や苦労とはせず、すべて終わっても性格はさほど変わらない。

Aヒロインは見た目が可愛らしそうでも、芯が骨太に強くて、
主人公が弱った時は、可憐な女性らしからぬ方法で叱咤激励する。

B会話はとぼけているようで、重要な事実がさらっと出てきたり、
身もふたもない意見や、独特の小ボケと流すツッコミの流れが軽快である。

Cとてつもなく無理ある設定や、超人的で論理をぶち壊す問題があっても、
何かしらミステリらしさがあって、ロジックで解ける仕組みが隠されている。

D分かりやすく誰でも納得できるハッピーエンドではないにしても、
妙に納得できてしまい、余韻を感じさせる終幕が用意されている。



これで、だいぶ「城平京氏の作品」らしさが伝わっただろうか。
最後に、昔からのファンだと自認していながら且つ、
「ヴァンパイア」が主題という当ブログに近いテーマがありながら、
実は最近になって、初めて読んだ作品をおまけで紹介しておく。




序盤はいかにもファンタジックなバトルが中心の展開なのだが、
徐々に目的と過去の謎が明かされ、陰謀めいた群像劇化してゆく。
ヴァンパイアがテーマなのに、それらしい吸血シーンは全然なく、
途中から宇宙人の侵略がテーマになったりするぶっとんだSF物なので、
とっつきやすくはないが、後半は城平京節が全開になっている。



またいずれ「天賀井さんは案外ふつう」についても書きたい。

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