月の騎士の戯言

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zoom RSS 少女漫画探訪 第33回:すくってごらん

<<   作成日時 : 2016/01/10 09:48   >>

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世界初!?金魚すくいが題材の少女漫画です。


『金魚すくい』
縁日の華で、子供の頃には1度やったことがあるか、見た事はある。
その程度の認識で、人によって多少の思い出はあっても、
毎日やってます!趣味です!大会出てます!なんて人は極稀でしょう。

本作はそんなマイナー遊戯を描いた少女漫画です。
金魚すくいを「世界一静かで優雅なスポーツ」と称して、
その競技の持つ魅力と、取り巻く人間模様が描かれています。
『ちはやふる』と同じ雑誌BE・LOVEに掲載されていたようなので、
その辺は間口も広くて寛容な姿勢なのだと思われます。





だいたいのあらすじ(オリジナル)です。

東京のエリート銀行員だった香芝誠は一つのミスによって
地方に左遷される。田舎の土地にも職場にも馴染める気がしない
香芝だったが、偶然足を踏み入れた金魚問屋に訪れ、
生駒吉乃に出会ったことで金魚すくいに目覚めていく――



主人公は典型的な都会の嫌な奴で、最初は田舎の人や生活も
気に入らなければ、金魚すくいのこともバカにします。
でも、気難しいインテリぶったキャラは意外と単純に懐柔されてしまい、
おまけによくある話で美女に釣られて一転して金魚すくいにのめり込み、
金魚すくい勝負に負けた日には涙まで流して自宅で練習します。

そうやって、金魚すくいの面白さと美女に惹かれていく過程で、
町の住民達も徐々に打ち解けます。1巻の終わりでは、
金魚すくいの全国大会があることを知るところで終わります。
この流れは少女漫画より少年漫画な展開ですね。
で、ここから主人公の香芝誠が全国大会に参加して、
全国のライバル達としのぎを削りながら熱い金魚すくいバトルを
繰り広げて優勝し、生駒さんと結ばれる……のだったら、
まさに少年漫画の王道をゆく話だったと思います。


ところが、そうはなりません。
まず、香芝は全国大会に出場しません
涙を流すまで練習しておいて全国大会に出られないとは!?
香芝は練習のしすぎで右手が動かなくなってしまい、
大会に出れなかったショックで銀行員を辞めてしまう
……みたいは展開では全然ありません(ないんかい)
理由は大会の申込期限を過ぎてしまったからで、
ショックを受けたのは生駒が「応援のためにお弁当つくる」と
言ってたのが実現しなかったことにです。
これが少年漫画だったら、なんじゃそりゃ!?かもしれませんけど、
少女漫画だと違和感はありません。むしろアリだと思いました。

で、全国大会を見守る側(裏方)にまわります。
その後は成り行きで得意先の親子仲を金魚すくいで
取り持ったり、成り行きでギャルと金魚すくいしたり、
成り行きでゆるキャラのきぐるみ姿で金魚すくいをしたり。
裏からみたからこそ、金魚すくいの奥深さに気付いたりします。
これも少年漫画だったら、誰かが棄権して代わりに出場するとかして、
何とか香芝は大会に参加できることになると思うのですけど、
本作では最後までそうなりませんでした。そもそも大会自体の
描写が端的であって、結果はさほど重要ではないのです。
その代わり、嫌味でクールだったはずの香芝の心が、
純粋に金魚すくいに魅せられる過程が丁寧に描かれています。



そして、金魚すくいの出会いを与えてくれた金魚屋の王寺が、
「金魚すくいの競技には参加しない理由」に触れます。
香芝は王寺に金魚すくい勝負を焚きつけ、
香芝の不思議な魅力に惹かれた王寺は、
12年ぶりの金魚すくいガチンコ勝負に挑みます。

これがクライマックスの展開で、3巻完結となります。
少年漫画としては、ライバル達との金魚すくいバトルは不完全燃焼。
少女漫画としては、生駒やギャル(明日香)との恋愛模様も不完全燃焼。
が、金魚すくいを題材にした人情噺としては、とても良くまとまってます。
絵や話のクセも少ないし、金魚すくいは多くの人にとってマイナーなので、
老若男女だれが読んでも印象に大きな違いはないのもポイントです。
少年漫画・少女漫画、どちらかの目線で見ると不完全燃焼であっても、
読み終えると漫画としてはスッキリ完結してる印象です。

何度も出てくるフレーズ「金魚すくい≒金魚救い」
ダジャレではあるのですけど、人情噺には妙にしっくりきます。
王寺との金魚すくい対決中に、香芝は金魚すくいを人生と同じと説きます。
ともすれば大袈裟なんですけど、これまた妙に説得力がある。
言葉に力があって、それを絵で活かす漫画だと思いました。



この漫画を読んで、今すぐ金魚すくいをやりたくはならなくても、
縁日で見かけたら1度はやってしまうかもしれないし、
やらないにしてもふと目には留めてしまうと思います。

田舎の風情だったり、金魚の泳ぐ姿だったりを見ると、
涼しくげな気分になるし、夏だけを舞台にした(最後に冬の場面もありますが)
漫画なので、真夏に読むのに適してますよ。
………あれ??紹介する時期間違ってるゥ!!
ということで、2016年も少女漫画探訪の旅は続きます。

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