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zoom RSS 少女漫画探訪 第20回:失恋ショコラティエ(完結編)

<<   作成日時 : 2015/03/07 09:17   >>

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以前に感想を書いた続きから、完結まで(ネタバレ有)の感想を。





過去の感想はこちらをご参照。
完結巻の発売に併せてネカフェで8巻までを一気読みしたんですが、
8巻最後の展開に純真無垢なハートはぶっ飛ばされましたよ。
このやり場のなさ、どこかで既視感があったような…と考えて、
カイジが破壊録編で遠藤さんに数億円を持ち逃げされた時と思いました。
趣旨は全然違いますが、どっちもここまでやるか!なドギつさです。

前回の感想でも言及してますが改めて確信しました。
この漫画は恋愛のアウトロー的ピカロ(悪漢)ロマンだ!
水城せとな先生は少女漫画界の福本伸行先生だ!
サエコはカイジに出てくる利根川先生の恋愛版化身だ!
ホントに冗談抜きで、高校生の時に初めて読んだカイジ以来の
「もうやめたってくれ…」というエグさ極まる、心ざわつくお話でした。


8巻最後の展開にまず目を奪われますが、
「これは誰もサエコに勝てない」と思わされたのは、
作中の良心的存在といえる薫子さんが「こんな女の恋愛
(生き方)は認めない!」とサエコに真っ向から立ち向かう場面です。
薫子さんはやや嫉妬交じりながら、一応は大人らしい言葉を
投げかけてサエコの非常識さを嗜めようとするんですが、
これがものの見事に逆論破されます。
この場面の屈託なさすぎるサエコの言葉には、
「こんな女はビッ○だ!」論を持った男達も、
グゥの音も出ないぐらいギタギタにされる事でしょう。

結果的に、薫子さんもサエコに恋愛相談するようになって、
これで女性陣の心を完全に掌握します。
利根川の演説を恋愛風に模してるとしか思えません。
何も考えてないどころか、むしろサエコは狡猾に考えている。
「恋愛は努力して勝ち取るスポーツと同じであるっ・・・!
その認識を間違う輩は生涯地を這うっ・・・!」

しかし、ここまで突き詰められると、どんなに節操なくて
倫理的には賛成できなくても、指南を仰ぎたくなる気持ちは
ちょっと分かりますね。女子グループの中にこういう
悪魔子が1人でも居ると、そのグループの恋愛力は
格段に上昇するんじゃないでしょうか。そして並大抵の男は、
ボッコボコにされる(もしくは相手にされない)と思われます。



で、最終的にサエコとソータはどうなるのか?
完全にネタバレになっちゃいますけど、
8巻時点で答えは出てるのではっきり書きましょう。

サエコに(夫との)赤ちゃんができるという形で完全に振られて終わります。

一瞬「え…?まさかソータとの子か?」と疑ったんですけど、
時期を考えると、さすがにそれはないですよね?
一体どの時点から認知してた事なのか、あるいはブラフなのか、
真相は分かりませんけど、どうあれサエコの選択は、
ソータに対する決別として終わってます。

最終巻の発売日が、月刊LaLaDX2015年3月号の発売日でもあって、
すなわちヴァン騎士特別編の掲載と同日に読んだのですが、
奇しくもヴァン騎士特別編では、枢と優姫の間に生まれた幼女を
健気に育ててる零があったわけですが、あれはファンタジーで、
これが(フィクションだけど)現実です。



まぁ実は意外な展開ではなくてタイトルで言ってますからね、
「失恋」ショコラティエだって。
つまり、こうなることまで全て決まっていた物語だと思われます。
その上でサエコという稀代のヒールキャラを澱みなく
描ききった水城せとな先生には本当に恐れ入ります。
勝手な推測ですが、批判的な声もあったと思いますし、
「受け入れてもらえる面も見せよ(あえて探せば夫からの扱いか)」
と思ってもおかしくないのに、最初から最後まで徹底して
サエコはまったくブレてません。共感とか好感度は得られなくても、
人間として「強い」のです。全体を振り返っても終わってみれば、
サエコの一人勝ちとしか思えないぐらい圧倒的な存在
でした。

それに比べると、ソータの方は初期からだいぶブレましたね。
最終巻にいたってはサエコに精神を切り刻まれた後、
ようやく薫子さんに背中を押されてエレナに会いに行ったものの、
どこまでも煮え切らない態度でエレナの詰問に圧されます。
最後は、サエコへのファンタジーな感情で生きようとする男から、
現実を見据えてショコラティエとして地位を得た。
これは普通に言えば成長だと思います。
ただ、『失恋ショコラティエ』の物語的には、失恋という形で
最後も泣いちゃってる姿を見せるわけです。


ソータにとってのサエコは、一人前のショコラティエになるための
イニシエーションラブだったと捉えられれば、
たとえその恋はバッドエンドに終わっても、
それは無意味な悲しいものではなく、必要な痛みだったのさ……。

なんか綺麗にまとめようとしたけど、
全然感動しない(良い話じゃない)ですけどね!!!


いや、誤解ない様に言うと漫画としては面白いです。
面白いけど、「感動する!」とか「泣ける!」ってのは、
まっっったくありませんでした。清々しいくらい無かったです。
そして、これを読んで「こんな恋愛したい!」ってのは、
さらに思いません。世の皆さんは思うんでしょうか?
自分はこんな厳しい世界では無理ッス…。平和に生きたいッス…。



最後に、前回の感想で応援していた薫子さんの恋模様
について言及すると、これまたファンタジックな展開は一切なく、
とても現実的なところに落ち着きました。
この後どうなるもならないも想像に任せますわ。な感じで。
見方によっては山場もなく放置で終わったようにも思えますが、
他の結末を見てると、いくらでもバッサリ斬れるところを、
含みを持たせてるだけ水城せとな先生の優しさじゃないかと。

ということで、前回も書いた言葉を改めて。
ガンバレ、パッサパサのおばちゃん!
あと、せきたに、てめーは本当にもう少しがんばれや!



帯に「すべての恋する人へ」とか書いてあるけど、
これって恋する人が読んで良い漫画なのか…?
もし自分が「いつか私だけの王子様と出会って恋に落ちる」
なんて夢見てる少女だったら、これを読んでショック受ける
…と思うのは男だからで、女性はそんなこと思わないのか?
普通に感動しちゃうのか?いくら少女漫画を嗜んでも分かりません。
でも、とりあえず男が読んでも面白いのは保障できます。
でもでも、自分に娘が居たらあんまり読ませたくないです。

そんな漫画でした。ショック療法的にお試しあれ。

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