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zoom RSS 少女漫画探訪 第7回:夢の雫、黄金の鳥籠

<<   作成日時 : 2014/02/15 09:08   >>

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今回はかなりアダルト向けな少女漫画です。





オスマン帝国皇帝、スレイマン1世の后・ヒュッレムの生涯を描く歴史漫画。
ルテニアの小さな村で生まれ育った少女・アレクサンドラは、
村を出て自由な世界へ飛び出すという叶わぬ夢を抱いていた。
ある夜、村はタタール人の襲撃に遭い、アレクサンドラは奴隷として商人に売られてしまう。



歴史漫画、というだけあって出てくる登場人物の名前や
出来事は完全な創作ではないようで、史実に基づいてる
らしい描写があったりもします。(歴史に詳しくないので、
どこまで基づいてるのかはさっぱりですが)
内容はエロティック&バイオレンスが混じりあってるものの、
絵柄は極めて小奇麗な「むかしながらの少女漫画タッチ」です。
女性は容姿端麗に、男性は眉目秀麗に描かれていて、
男臭さは毛ほどもありません。
その意味で、徹底的にオトナの女性向けになってます。

物語の注目点としては、時代背景もあって
身分によって決定的に扱いの差を受けることです。
ヒロインの少女『ヒュッレム』は奴隷として売り飛ばされる寸前、
好青年に救われたと思いきや、皇帝に献上されて
好きでもない男に毎晩呼び出され(つまりは…お察しあれ)、
ライバルからは毒を盛られたりして常に危険と隣り合わせ。
身分は貧しい村の少女→奴隷→側室と変わっていきますが、
ヒュッレムが思い描く「自由」とは常に程遠い人生なのです。

では、悲惨なお話?といえば、そうでもありません。
ヒュッレムは自立心が高い、強い女性として、
ハレムの掟と皇帝の随意に翻弄されながらも
苦境に嘆くことなく知恵と立ち回りで、
一目置かれる存在として瞬く間に地位を築きます。
単純な成り上がりストーリーで爽快!ではないのですが
読んで気持ちが暗くなるような様な感じでもありません。
女性にしてみれば、ヒュッレムの立ち回りに羨望して
「カッコイイ!」と憧れる話になるかもしれません。
これはおそらく共感していただけないと思いますが、
ヒュッレム=ホリエモンを想像してしまいましたが。



この時代の文化では奴隷だとか、ハレムだとか、
側室に妾といった男尊女卑な概念が当たり前の世界です。
現代の日本でそんなもの許されないのは当然として、
そういう思想が見えるだけでも断罪されると思います。
例えば「女はお茶でも酌んでりゃいいんだよ!」なんて
酔っぱらったオッサンが女子社員の前で叫んだ日には、
セクハラとパワハラのダブルパンチで、
社会的に総スカンをくらって叩きのめされます。
(しかしこれ、似たようなことを男には言っても良いような
風潮が感じられるのも別の差別だとは思いますが…)

本作では、ヒュッレムの視点(心情)が描かれているので、
皇帝であるスレイマン1世には立場的に抗えず、
体は許してはいますが、心は恋する乙女として
イブラヒムと結ばれたい気持ち第一で進行していきます。
イブラヒムにも絶対逆らえない主従関係性があって、
二人は後宮内で成り上がりながらも自由には
寄り添えない悲恋な関係。絶対の立場や身分の壁は、
純愛で変われるのか?が、テーマではないかと思います。

ですから、「こんな女性差別は許せない!」なんて
社会的なことを考えるような内容ではありません。
むしろ、男側が「体を自由にさせても心は違うのよ」と
逆に突きつけられるような緊迫感があります。
ですから男としては、感情移入が極めて難しい漫画です。
ゲスな欲望で皇帝のことを羨ましいと思ったとしても、
冷静になって考えると現代でも金さえあれば、
似たような状況をつくることは可能(詳しくは察して)で、
それが羨ましいか?と言われれば、そうでもないです。
これは男のプライドで言わせてもらいますが、
やっぱり目指すべきは皇帝よりもイブラヒムですよ!



前回紹介した『海月姫』と比較しても面白いですね。
「女だらけの集団生活をしてる」のは同じですが、
一方は男を完全拒否することで一致団結して
居心地の良い空間を創り上げているのに対して、
一方は男に体を捧げるために
他者を出し抜こうと火花を散らし合って食い殺しあってる。
まったく真逆の世界ですが、どちらも興味深い。

どちらも女性の内面にあって、世の御婦人はどちらか、
あるいはどちらも理解できてしまうのでしょうか?
それに対して、団結することも争うことも基本的に拒否してる男に
はたして魅力はあるのか?なんて真面目に考えてしまいました。

以上、、大変真面目な考察調で書いてしまいましたが、
これは昔の自分が読んだら、極上のツッコミ漫画としても
扱えたんじゃないか?
と思って、ちょっとだけ後悔しましたね(笑)

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは〜。ツッコミなくてまじめで驚きました!久々に数巻一気読みとかすると楽しいですよね。
aki
2014/02/20 18:35
akiさんコメントありがとうございます。
ツッコミない真面目な感想で
逆に違和感あるかもしれません(笑)
ご要望があれば、いつかはっちゃけた
ツッコミまくり版の夢の雫、黄金の鳥籠感想も
書いてみたいです!
月の騎士
2014/02/21 21:39

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