月の騎士の戯言

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zoom RSS 書評:開かせていただき光栄です

<<   作成日時 : 2014/02/08 15:21   >>

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最近読んで、大変面白かったミステリ小説を紹介します。


去年の夏から秋の終わり頃に至るまで、
なんとなく読書意欲があまり起きない時期がありました。
(書評で紹介してたのはそれ以前に読んでた本が多かったし)
深く考えれば、そうなった理由も浮かんでくると思いますが、
小学生の時より『読書ブーム』は来たり去ったりを繰り返しながら、
今日に至るまで、一応それなりに本を読んできましたから、
気にしてませんでした。そのうちまた読むだろうと。

そして案の定、何度目かの読書ブーム到来がやってきましたね。
読書をしなくなるのはなんとなくですが、熱心に読み始めるのは
明確な動機やキッカケがあって、過去のことでも覚えてます。
で、今回はキンドルで電子書籍に本格着手したからでした。


紙の本は嵩張るので、持ち歩くとしても「近々絶対読もう」と
思ってる本1冊になりますが、電子書籍端末があれば、
外にいて暇な時間に、「あ、そうだ。あれ読もう」と、
多数の本から選択して不意に読み始められるのが利点です。
読み始める前や、読み始めてすぐはページを進める意欲が
あまり沸いてこなくても、物語(内容)に入り込めれば
あとはだいたい流れる様に読み切れますし。
外で読むキッカケは、紙よりも電子の方がありそうです。

じゃあ紙の本が未だに根強くあるのは家で本を読む人が
多いから?…と考えると、そうはあまり思えないですね。
それよりも、紙の本としての「風情」だったり、
本をインテリアとして考える人が多いからではないかと。
その辺の考察は、いつかまた別の機会にでも。



前置きが長くなりましたが、今回紹介する小説も、
電子書籍でふとした時に購入して、ふとした時に読みはじめ、
そして読んでみたら、結果的にハマった小説です。






「このミステリーがすごい!」の2012年国内版で3位にもなった作品です。
このミス2012は購入したはずですが、
本作については、とんと記憶に残っていません。
その当時は気になって目に留まる作品ではなかったのでしょう。

内容としてはAnazonの紹介文より引用させていただきます。

18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室から、
あるはずのない屍体が発見された。
四肢を切断された少年と顔を潰された男性。
増える屍体に戸惑うダニエルと弟子たちに、
治安判事は捜査協力を要請する。だが背後には、
詩人志望の少年の辿った稀覯本をめぐる恐るべき運命が……
解剖学が先端科学であると同時に偏見にも晒された時代。
そんな時代の落とし子たちがときに可笑しくときに哀しい不可能犯罪に挑む。




なんだか小難しい調子で書いてあるので、
読書意欲がそそられないのは仕方ありませんが、
読んでからだと、この説明文が的確だと分かります。
特に見事な言い回しになってるのは、『時代の落とし子たちが
ときに可笑しくときに哀しい不可能犯罪に挑む』の部分です。
詳しい解釈を書くとネタバレになるので説明はしませんが、
本書の面白さはこの一文で説明し尽くされてます


よって、以下は蛇足になるかもしれませんが、
個人的な見解として書いておきます。

内容や体裁は海外ミステリー調です。
ですが、本作は日本人の作家が書いていて、
英文を翻訳してるわけではないので、
読みやすさに関しては安心してください。
登場人物の名前が多くてややこしく感じるのも最初だけで、
濃いキャラクター達は読み進めるほどに
頭にすんなり入ってくるはずです。


舞台になってる18世紀のロンドンとか、
作中のキーワードになる解剖学だとかは、
あまり馴染みがなく取っつきやすいテーマではありません。
2012年のこのミス本で紹介されていた時の印象がないのは、
そのせいではないかと思います。

が、これも読み進めていけば、むしろそれがアクセントになって
面白さに繋がっている様に感じます。
全体的な暗い雰囲気は、この時代の世相によって彩られ、
解剖学は、登場人物達の性格や行動に反映されています。
時折、直接的に残酷な描写があってもグロテスクに感じず、
ちょっとしたユーモアも会話に含まれています。


小説固有の面白さとして、「絵がないこと(※表紙除く)」
が挙げられます。つまり読者の想像によって好きな様に、
大まかな造形から描かれないことまで補完できるのです。
たとえば、本作に出てくるダニエルの弟子達は、
だいたい二十歳前後の年齢らしいことは描かれてますが、
好奇心旺盛で幼さを感じさせる会話のやり取りから、
中学生ぐらいの少年5人組として脳内変換で楽しめました。

同様に想像を働かせることで魅力を感じたのは、
作中に料理(食べ物)を嗜むシーンが何度かあって、
そのどれもが想像を掻き立てられました。
単に「美味しそう!」というより、場面場面でインスピレーション
を刺激するような配膳がされているので、印象に残るのです。
物悲しい雰囲気の中に時折出てくる描写は、
18世紀のロンドンに住む人物達の日常風景を描くに
ピッタリのディティールになっていました。


ちなみにミステリとしては、作中で起きる事件のトリックを
推理して楽しんだり、どんでん返しに驚かされたりするのも、
面白さとして保有はしてますが、それが第一ではないと思います。
本作の魅力は、物語、登場人物、文体そしてタイトルに至るまで、
どこを切り取っても格調高く
、読み進めていくうちに、
世界観に没入できること、即ち作品としての完成度です。


読まず嫌いをしやすい作品であることは確かですが、
読んでみれば、読後も余韻の残った良作でした。
本作の続編として「アルモニカ・ディアボリカ」という
作品が発売している様です。こちらも電子書籍化
された際は購入して読んでみたいと思っています。

それではまた面白い本があって紹介したくなったら、
折を見て書きます。

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