月の騎士の戯言

アクセスカウンタ

zoom RSS 3月のライオンと電王戦リベンジマッチ

<<   作成日時 : 2014/01/19 06:12   >>

ナイス ブログ気持玉 5 / トラックバック 0 / コメント 5

話のテーマは将棋ですが、将棋を知らない人にも読んでいただきたい。


まずは電王戦リベンジマッチについて。
ニコニコ動画を日常的に観てる方はもちろんのこと、
地上波テレビでもCMを放映していたそうなので、
全然将棋に興味がなくても、「なんかやるんだな」と
なんとなく認知されてた方は存外多いのではないかと思います。

簡単に説明すると、2013年の3〜4月に全5局が行われた
第2回電王戦(将棋のプロとコンピューターが対局するイベント)の
スピンオフ企画として、最も熱戦・烈戦・超激戦で盛り上がった、
第3戦の船江五段VSツツカナの再戦が大晦日に行われたのです。

普通に考えると「なんで大晦日に?」かもしれません。
ですが、個人的には最高のシチュエーションでした。
大晦日の決戦は格闘技ファンにとって長年の風物詩だったのに、
残念ながら今年はそうやって燃えることはできないのか…。
(※格闘技自体は行われていますが様々な状況面で)
と思っていた矢先でしたから、今年も大晦日に感情移入できる
戦いが観れることを何よりも嬉しかったのです。


リベンジマッチというと、大抵はリベンジを挑む側にとって
大きな利が働くものですが、この対決はそうでもありません。
なぜならば、負けた時に失うものがあまりに大きいからです。
第1戦は、自らの棋風に準じて指した船江五段が、
全体を優勢に進めながらも、コンピューターの粘りで決めれず
最後は人間らしい精神的な面が影響して敗れました。

今回勝っても前回の負けをすべて払拭することはできず、
もしも二度負ければ、第1戦の熱戦さえ貶められることに
さえなりかねない。対してコンピューター側は、
プレッシャーもなければ、日進月歩で強くなっていくために
負けた結果さえ感情もなく研究材料の糧にするだけ。
そんなハイリスク、ローリターンの戦いであり、
棋士側に果てしないプレッシャーだけが圧し掛かる。
しかし、だからこそ勝負をする姿はとても美しく、
熱く感情移入できる戦いになったのです。


結果は、前回以上にコンピューターの傾向と対策を研究し、
勝ちに徹する姿勢で完封勝利のリベンジを果たしました。
が、最後にどんな風に指しても勝てるような状況で
あえて華麗に相手を詰ましたのが人間らしくて良かったです。

内容だけ見れば、コンピューターの穴をついた戦いで
一方的に勝ったように見えますが、濃密な勝負の世界が
見えました。例えるなら第1戦は、お互いにダウンの応酬を
取りまくった派手な殴り合いで、第2戦は徹底したポイントアウト
の末に、鮮やかな一本を取った。そんな感じです。

コンピューターは敗北する時もあっさりしたもので、
当然ですが、自ら声を発して「負けました」とは言いません。
負けを読み切った時は、まるで子供がふて腐れ
レースゲームで逆走を始めた時のような
わけの分からない手を打って、兆候を見せたりもします。
それに比べて、棋士側が負ける寸前に見せる
耐えがたい苦渋の顔とのコントラストがまた面白い。
第3回電王戦ではどんなドラマが待っているのか。
今から楽しみです。




続いて将棋マンガ「3月のライオン」の感想に。






かなり前から、気になっていた作品でした。
けれど読むタイミングを逸し続けて、
2013年も終わりが見えてきた頃。
将棋の熱も高まってきたし、移行計画中の電子書籍で
発売されたのをキッカケにようやく購入して読みました。

月並みな感想ですが、大変すばらしい優秀作です。
題材になってるのは『将棋』で、本格的な対極描写も出てきますが、
将棋を知らなくても問題はありません。『ちはやふる』や『ヒカルの碁』
にも共通していることで、テーマになってる題材を知らなくても、
問題なく楽しめることは、世間一般に伝わる名作の必須条件ですよね。
作中(2巻)で『ニャーしょうぎ』という、とってもカワイイ絵を使って
将棋の概要について分かりやすく説明してくれる回もありますし、
9巻には付録で「おでかけニャーしょうぎ」が特典になっていたり、
物語が進むと共に、将棋にも興味が湧いてくるはずです。

作者が女性なので、少女漫画っぽい雰囲気もあって
女性にも問題なくおススメです。もう少し早く読んでれば
2013年の『女でも読める?少年漫画」にランクインでした。
でも結果的に電子書籍で買えたのは、良かったかもしれません。
ふとした時にまた何度か読みたくなる予感がしますから。



で、本作は将棋の世界で生きる勝負の厳しさや面白さも
存分に描かれているのですが、その一方で将棋と直接関係ない、
登場人物達の対人関係や心の葛藤が描かれてます。

主人公の桐山君は将棋に対してまっすぐではありません
中学生でプロになれた才能を持ちながら、
とある事情から、仕方なく将棋を指してるような素振りを見せます。
物語に進むにつれ、その心は徐々に変わっていくのですが、
桐山君の心情情景に含む切なさは常に物語から離れません。
片手間にポテチ食べながら読むような心境にはとても
ならないです。(※そのように読む人がいても結構ですが)

そんな桐山君の心を溶かしてくれるのが、
偶然出会った川本家であり、外の世界で味わった哀愁を
この家に来れば優しく包んでくれるような物語構成です。
シリアスなドラマから、一転して砕けたハートフルな会話や、
美味しそうな料理描写には、ほっこりすること間違いなしです。
そのバランスが良いのも名作の条件ではないかと思います。



そして、ここからは多少本編のネタバレに抵触しますが、
どうにも胸を打たれてしまったエピソードなので書きます。

5巻の後半辺りからは、川本家の次女でムードメーカーの
ひなちゃんが学校のいじめトラブルに巻き込まれるのですが、
かなり踏み込んだ内容で心を掻っ攫われると思います。
「将棋と関係ないじゃん!それより本編の話進めて!」
なんてバッサリ斬る人もいるかも…いや、いないでしょう!(断言)
関係ないどころか、それまで将棋を指す動機を
曖昧にしか持っていなかった桐山君が初めて本気で
「勝ちたい」と思う心境に変わるキッカケになるのですから。

「明るく元気な女の子が逆境で打ちのめされながらも奮闘する」
という、個人的な泣きツボを完全に押されてしまったので、
半泣きで読みました。いじめられてる描写がかわいそう!
じゃなくて、それに立ち向かうひなちゃんの姿勢、
友達だった子が転校した後のエピソード、
修学旅行中の孤独感と救いなど、情緒を誘うディティールが、
切なかったり温かかったりして心に染みてくるのです。
自分がひなちゃんと同じような境遇だったり、
娘が同じ立場になったと思って読んだら号泣してますね。


他にも、各棋士の将棋に対する執念や林田先生の
さりげないフォローなど、見所は多々あります。
「将棋とか興味ないわー」で読まないのは勿体ないですね。
心の名作選にまた一つ加わった作品になりました。
次の10巻が出たら光の速さで購入します(笑)

最後に余談で、主人公の桐山君の名前は「零」で
「れい」と読むのですが、ヴァンパイア騎士の影響で
自然と「ぜろ」と読んでしまいますね(笑)
奇しくもその呼び名は本人のトラウマになってるのですが…。



2014年も将棋は変わらぬ熱さで楽しめそうな1年になりそうです。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 5
ナイス ナイス ナイス ナイス
なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
「3月のライオンとリベンジマッチ」の記事面白く拝見しました。
私は3月のライオンの方は全巻初版で持っている位の長いお付き合いですが、いまだに将棋のルールがよく分かってません・・・。
コマの動かし方を全部覚えられないので、勝負以前の問題なのです(涙)。
だからリアルの試合をわくわくで観戦できる騎士様が羨ましいぃ!!(笑)

3月のライオンは良い話ですよね。読む人の立場によってその色を変えますし、出てくるキャラ、出てくるキャラ、個性的過ぎてめちゃ楽しいです。
私は主人公がドンドンたくましく大人になっていくのがとても好きです。
あと、私は零(れい)くんを零(ゼロ)と読んだことはないですよ。
どうも頭の回線が切り替わっているみたいです。
HISAKI
2014/01/19 16:20
HISAKIさんコメントありがとうございます。
すべて初版で所持されてるとは、
かなりのファンでいらしたんですね〜。
将棋のルールは単純なのでちょっと頑張れば
覚えるのは簡単だと思いますよ!
プロレベルの一局になると奥が深すぎて
とても常人の脳では追いつけませんが(笑)
難解な部分の補足に、3月のライオンみたいな漫画を
読んだり、プロの解説をいっしょに聞くと大変面白いです。

主人公が人気出るのは分かります。
島田八段が意外と大人気ってのは、
ちょっと意外でした。超地味なのに(笑)
でも、ああいうキャラが実は一番
現実感があって良いのも分かりますね。

あ、零(れい)くんは零(ぜろ)とは
読まないですか(笑)
桐山くんと呼ばれている時もあるので、
ふと零という単語が出てくると
「ぜ…いや、れいくんね」と一瞬変換
するのに迷うのはヴァン騎士の名残と感じました。
月の騎士
2014/01/21 10:32
騎士さんの10万円(!)エピソードに観戦にかける情熱を感じました!
私も読んでるけど将棋はわかりません。にゃー将棋なら頑張れそうな(笑)

将棋で人がコンピュータに勝るってほんとにすごいですね。データでなく創造力!みたいな。羽生さんとかヒクソングレイシーとかすごく強い人って自然体で謙虚なイメージがあります。
騎士さんは強い人に共通の雰囲気なにか感じますか?

ライオンもほんと戦う人がカッコいい。ひなちゃんの姿に打たれますよねー。私は全て終わってひなちゃんが陽だまりでお昼寝してる場面で号泣でした。

私は始め零くんは少し零に似てる?と思ってました。
俺にかまうな的なとことか、女の子(確か香子さん?)に押し倒されちゃうとことかw
ミロ
2014/01/22 21:56
あ、あとヴァン騎士にコメントがついたら見たいのですが、古い記事への最新コメントってこちらからはどこかで確認出来ますか?
それでもしまたヴァン騎士の記事にコメントしたくなってしまったら、してもいいでしょうか。
ミロ
2014/01/22 23:20
ミロさんコメントありがとうございます。
10万円エピソードは、しかも当時まだ
社会人になる前(大学生)ですからね…。
社会人になってからもそんな大金
ほとんど使ってないですよ(笑)

にゃー将棋でも奥が深くてオモシロそうですね。
将棋を知らない人や子供でもすぐ遊べそうですし。
将棋とコンピューターの戦い(共存)は
今が一番面白い関係ですね。実力も拮抗
してるし、考え方もそれぞれですし。

強い人は、自らを変に誇示することもなく
自然体で求道者のような佇まいですね。
相手を倒すのではなく、自分を高めるのが強さ
ではないかと感じます。
ドラゴンボールの悟空から通じる理論ですが(笑)
3月のライオンに出てくるキャラも、
将棋だったり学校だったり家族だったり
立場は違えど「心の強さ」がとてもよく視える
物語だと感じました。

確かに桐山くんとヴァン騎士の零は
共通点もありますね!どちらも単純ではない
愛や温もりを求めているところとか…。
まぁ、ヴァン騎士の零に比べれば
桐山くんはとても素直な子だとは思います(笑)

コメントはすみませんが、皆さんからは
どの記事にコメントが付いたかは
分からない仕様ですね…。
過去の記事だろうが関係ない記事だろうが
コメントは好きにしてもらって構わないので、
何かあったらどしどしお願いします!
月の騎士
2014/01/23 23:02

コメントする help

ニックネーム
本 文
3月のライオンと電王戦リベンジマッチ 月の騎士の戯言/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる