月の騎士の戯言

アクセスカウンタ

zoom RSS 少女漫画探訪 第3回:僕等がいた

<<   作成日時 : 2013/09/07 07:11   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 6 / トラックバック 0 / コメント 2

第3回は、全16巻を読み終えた『僕等がいた』の感想です。










あらすじは以下Wikiより引用。

釧路市の高校に入学したばかりの「高橋七美」は、
新しい環境に胸を膨らませていた。
友達もでき、順調な高校生活がスタートしたように思われたが、
中学ではクラスの三分の二の女子に好かれていたという
人気男子「矢野元晴」との出会いは、
七美にとってあまりよい印象のものではなかった。
クラスメイトとして共に過ごすうち、徐々に矢野に惹かれていく七美。
だが、矢野は恋人との死別という暗い過去を引きずっているのだった。

紆余曲折を経て大好きな矢野と両想いになり付き合い始めた七美だが、
彼が上京し遠距離恋愛に。再会を約束した翌年、
七美が上京すると矢野は消息不明になっていた。
待ち続け苦しむ日々が続いた末、
ようやく七美が再会できた矢野はまるで別人だった。




そして、これが約4年前に見て書いたアニメ(第1巻)の感想。


僕等がいた DVD第1巻感想


まず当時の感想を書いた自分に一言!


ガキだな(´・д・`)


感想を書いた覚えはあったけど、内容はすっかり忘れてました。
こんなにも否定的な感想を書いていたとは…。
まぁ、当時の気持ちはなんとなく分かりますよ。
今回漫画を1巻から読みまして、高校生編のキラ☆キラ感は、
感情移入できるか?と聞かれれば、今でも「あまりできない」です。

ただし、それは青春に伴う正常な痛みであって、
苦手意識はあっても、鬱になるとかよくわからない表現で、
目をそらしてはいけませんね。好き・嫌いはあっても
作品そのものに対する評価には関係ないです。
冷静に物語を観る目線が足りんのですよ!(当時の自分に激おこ)

この時期はまだまだ少女漫画に
対する免疫が付いてなかったのもありますが、
それにしても幼い感想です。4年の時を経て、
『僕等がいた』の作者さんとファンの方へ陳謝します。
当時でも22歳、『僕等がいた』の第二部と同い年ぐらいで
十分大人のはずなんですが精神が追いつけてませんでした(笑)



さて、空白の4年間、本作のことはほぼ忘れてましたけど、
実写映画化の影響もあってか、去年あたり書店でよく見かけ、
思い出したのもあって、今回の機会に通して読んでみました。

全巻通して読みきった感想をざっくり言うと、
綺麗ごとでいい少女漫画的な物語と、
綺麗ごとじゃない現実的な物語が融合してる印象
です。
ほのぼのしたゆる〜い日常の会話が続くシーンと、
切り裂くように切ない感情が迸ってるシーンが交互にあって、
ストーリーに緩急がついてます。また、そのどちらのシーンも、
「これでもか!」と恋愛に対するメッセージ性を含んでいます。


『高校生編』は、平凡な少女がクラスの人気者に惹かれ、
相手も実は……という、おもいっきりド直球な少女漫画です。
「なんでそこまで?」とか、変に突き詰めて考えたらダメで、
とにかく「恋」はそういうもんだ!で納得するのが正しい姿勢だと、
大人になって逆に思えてきました(笑)

とはいえ、ただキュン☆キュンしてる話だけでなく、
矢野が時折発する言葉には、成熟してない子供的な冷たさが
含まれていたり、山本姉妹を巡る話は全然きれいごとでは
済まなかったり、目に見える展開ほど順風満帆ではないです。
高橋と矢野の関係は、どこか脆くて心細く感じたりもしながら、
竹内くんが絡んでいくことで、感情がより高ぶっていきます。



そんな『高校生編』は矢野の転校で幕を閉じます。
物語は10年後に飛んで、高橋と矢野はその後もずっと
互いを想い合って、最後は結婚しました。
……で、完結しても作品としては破綻してないと思います。

ですが、5年後の『社会人編』で、矢野は消息不明になり、
二人はその後まったく出会ってない展開から幕を開けます。
その間に起こった出来事は追々語られていくのですが、
面白いのは『高校生編』がまるまる伏線になっていることです。
それぞれが高校生編を引きずりながら、忘れようとして、
だけど忘れられず、前を歩こうするけど傷ついて、、、という
ジレンマを繰り返します。高校生の時なら「恋が終わった」で済むことも、
大人になって、いろいろ取り返しがつかなくなったら、
はたして過去に抱いたその感情はどう消化されるのか?
…がテーマだと思います。

高校生編で矢野が「早く大人になりてー」と
叫ぶシーンがあって、本人は高校生であるが故の
不自由さを嘆いてるのですが、いざ大人になると、
それぞれの想いも性格も根本的には変わってないのに、
雁字搦めに縛られた現実で生きていることを自覚する。
これが『綺麗ごとじゃ片付かない現実的な物語』ですね。


しかし、このお話が最終的に行き着く処は、
『綺麗ごとでいい少女漫画的な物語』なのです。
その結末に行き着くまで、高橋の想いと矢野の苦難を、
じれったくも繊細に、そして「理屈ではない感情」を激しく
描いているのです。その展開と結末をどう受け止めるかは、
読者の感性次第なんですが、子供すぎても大人すぎても、
なんだかよくわからない
かもしれません。子供と大人の中間ぐらいの
心をもって読むのが良い作品だと思います。




以上、読んだ感想を徒然書きました。
さて、最後に完全ネタバレにもなりますが、
言及せざるを得ないので、これだけは言わせてください。


竹内くん超カワイソス(´;ω;`)


まさか、ここまで徹底した『永遠の良い人』で終わるとは…。
えーっと、私の勘違いでなければ、竹内くんは結局最後まで
高橋に直接的なキスもしてない
ですよね?同棲までして。
竹内くんの報われなかった行為を挙げ連ねればキリがなく、
ツッコミネタとして笑いに昇華するのもしのびない程の不憫さでした。
登場人物の中で誰よりも人間ができていて、
誰もよりも自己を捨てて他者を想っていた。
そんな素晴らしい好男子。だけど、なりたくない立場

それでも、竹内くんは『恋のかませ犬』ではなかったです。
最初から最後まで、『恋のライバル』として成立してました。
正直13巻ぐらいまで読んだ時点では、
「高橋は竹内くんとくっつくはずだ!」と思い込めましたから。
だからこそ、竹内くんにとっての結末は
あまりにも残酷で無慈悲だったのですけど…。
「でもそれが恋愛の現実やん?」と言われれば、
そうなのかもしれません。その後、下手に誰かとくっついた描写が
ないことまで含めて、竹内くんは物語の役割と、
まっすぐな気持ちを真っ当した
のだと。

それは報われる、報われないの話ではないのです。
男として、彼の生き様には敬意を表します。
繰り返しますが、「おまえもそうなれ!」と言われれば
断固として拒否したいのが本音なんですけどね(笑)




それではまた来月の少女漫画探訪第4回で。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 6
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス ナイス
ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
16巻、読破お疲れさまです!
当時は、騎士さんの好みをあまり考慮せずオススメしてしまった作品でしたが、再び手に取っていただいて、作者にも出版社にも関わりのない一読者ですが、なんだか嬉しかったです^^

そして、竹内くんは本当にかっこいいですよね。
騎士さんが「恋の噛ませ犬」ではなかったと書いてくれたけど、本当にそうだと思います。
分かりやすいような、嫌なヤツでもお人好しなだけのヤツでもなくて、矢野にとっても、七美にとっても失いたくない大事な存在なんですよね。

あと、千見寺くらいサバサバしてると読者としては気持ちが良いけど、特に女子に人気のなかった山イモ(山本妹)がある意味一番人間臭くて、ハッピーエンドを迎えた今では好きです。
親にすら比べられるくらい可愛い姉、地味な自分、姉の死に囚われ続ける矢野、姉亡き後も自分を蔑む親、、、
たぶん矢野を解放して、姉への執着からやっと解放されたのは、他でもない山イモだと思うんですよね。

と、深読みしてみましたが、この漫画というか作者さんの描く作品の一番のウリは、きらきら☆な名台詞たちだと思うので、騎士さんが男子の皮をかぶった女子、くらいに進化した暁には、再び手に取って堪能してもらいたいですwww
ぐうたら
2013/09/08 08:49
ぐうたらさんコメントありがとうございます。
数年前におススメしてもらった時は、
この漫画を全然理解できませんでした(笑)
しかし、今ならその魅力も分かります。

社会人編に入ってしばらくは
竹内くんパラダイス状態だったのに、
そのフェアプレイ精神はいったいなんなの?
ってぐらい、真っ向勝負をして泣きを見ましたね。
矢野がいった「女だったらおまえと
結婚してる」はせめてもの最大級の賛辞だと思います。

山イモは15巻の最後に良かったですね。
彼女視点の感想を書いてませんでしたが、
僕等がゆくのダークサイドを読む上では
最重要人物として、登場するたびに物語が
ピリッと引き締まり、嫌いじゃなかったです。
女子に人気ないのは…まぁしょうがないですね(笑)
高橋とは真逆の方向性ながら、
矢野に対する歪んだ執着にはいろいろ考えさせ
られました。相手が苦しんでると分かっていても
どれだけ拒まれても追いすがってゆく。
その姿勢から解放された時、
満面の笑みで感謝言葉を言えたのは
清々しい結末だったと思います。

千見寺は一番利口でしたね。それがいいかわるいか
分かりませんが、主要人物の中では最も
傷つかなかった子だと思います。

きらきら☆なセリフには、たまに悶えますが、
それでも最初に読んだ当時よりは免疫ついたので
あと数年もすれば、「あのセリフ読まなきゃ
やってられんぜよ!」ぐらいに思って、
進んで読むかもしれないですw

ということで、数年の時を経てしまいましたが、
改めてご紹介ありがとうございました!
ほかにもおススメありましたら、
またよろしくお願いします。
月の騎士
2013/09/08 22:34

コメントする help

ニックネーム
本 文
少女漫画探訪 第3回:僕等がいた 月の騎士の戯言/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる