月の騎士の戯言

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zoom RSS Ane LaLa(2013年7月号)感想

<<   作成日時 : 2013/06/22 09:07   >>

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オトナガール向けLaLa新増刊の感想です。







2011年の黒白から始まったLaLaの増刊号シリーズ。
2012年は三色のトリコロール(青、赤、白)だったのが、
2013年は色ではなく「Ane」という新基軸で創刊されました。

この辺の企画センスはさすがだと思います。
『お姫サマー』「挟むとハンサム』などの
時代をぶっちぎった、超おやじギャグが時折炸裂するのも、
迸るハイセンスを隠すため、わざとやってるのかもしれません。
読者プレゼントページでは、しっかり「胸キュン★」と、
ズンドコなセンスも披露してくれちゃってますし。
なぜわざわざ隠すのかはまったく分かりませんけど。



本誌は過去の増刊号に比べると掲載本数は少なく、
全部で9作です。ただし率直に、全作読み応えあって良かったです。
過去の増刊は掲載本数が多い分、玉石混在な印象でしたが、
(といっても読むに堪えないような作品はなかったし全部読んでました)
今回の『Ane LaLa』は少数精鋭な印象です。

そして何よりも、全体のテーマが、
自称『食生活と心は孤独なOL』にどストライクです。
「恋で、仕事で、熱くなる。キレイになる」なんていう
素敵フレーズの括りに入るのは恐れ多いですけれど、
少女漫画を嗜みながら社会で健気に生きる、
20代から30代にかけての女性、すなわち表題になってる
「オトナガール」に向けた1冊として完成されてます。


どの作品も、ファンタジーよりもリアリティを重視していて、
登場人物の年齢も総じて高めです。
『インヘルノ』だけは高校生が主役ですが、
それ以外の作品は、主要キャラの男女どちらかは、
成人を超えています。『田舎の結婚』にいたっては、
ヒロインの年齢が31ですし。

現役で女子中・高生の方が読むには、
なんだか夢のない話が多いように感じる
かもしれませんが、社会人にとっては、
むしろ、これぐらいの儚さが良い塩梅ではないでしょうか。
(掲載作のいくつかは連作になってるらしく、
今号だけでは物語がきちんと完結してませんが)


オトナガールに向けてるのですから、
作中ではわりと普通にアダルトな言葉や描写が出てきます。
設定もヘビーだったり、ブラックだったり、
ノリはライトポップなんだけど、心象風景は切なかったり。
実際に読んでみてもらえれば分かりますが、
通常の月刊LaLaとは一味か二味違うスパイスが効いてます

ヴァンパイア騎士の連載が終わってしまった今、
この『Ane LaLa』が定期的に創刊されるならば、
こっちをメインにしたいなーと思うぐらいでした。
最低でも『ラストゲーム』の連載が終わるまでは
本誌月刊LaLaの購読は継続を決めてますが、
今後の方向性として、真面目に読んで楽しむなら、
こういうテーマや感性が私は好きです。
まあ、ネタとして書く場合や、気兼ねなくツッコミ入れたり、
辛口のぶっ込み入れるなら、全然別物なんですけども。




さて、全作品読み所あって良かったので、
詳しくはそれぞれ読んでください!
…で終わらせると、記事として少し物足りないので、
その中でも印象的だった3作について詳しく書いてみます。



十年後、街のどこかで偶然に

タイトルの通り、高校の同級生が仕事を通じて
10年ぶりに偶然に出会って…というストーリーです。
大筋だけ抜き取って書くと、ロマンチックな展開を想像しますが、
出会う二人の関係は、ほんのちょっとだけ交流した
(だけど互いの印象には残ってる)なんてことない同級生です。

再び出会っても、ひたすら抑え目な会話に終始し、
周りは関係を煽りはすれど、本人同士は何ともいえない
微妙な感情を抱くのみ。明確なロマンスやドラマはありません。
だけど、10年経って何かが違う、すれ違ったまま終わりはしない。
それがラストシーンのモノローグ『今度は上手にできるでしょう』
に集約されている
のです。

最後まで決定的な何かは提示されませんが、
大人の苦味と甘味があって、後味はすごく良かったです、
微妙に揺れ動く心と、10年の成長と変わらない想いが描かれ
静かで落ち着いたドラマだったのも私は好みでした。
巻頭カラーにふさわしい優良作だと思います。



プティトゥ・ペッシュ! 

こちらはタイトルだけでは何の話かまったく分からないですね。
仕事帰りの深夜0時、とあるカフェで毎日のように
自分が望む絶品メニューが提供される。
謎の女性店主を『魔女』と呼び、その後も通い詰めるが…。
という話です。そんなストーリーをぶっこぬいてでも、
まず何より、作中の料理が美味そう!ってことに尽きます

絵的な効果もさることながら、依子女史の美味しんぼ
栗田さんばりな料理解説が見事に決まってるのです。
食がOLのアンテナにはビシバシ引っかかって離れません。
近くにこんな店があったら、毎日行くのも致し方ないでしょう。

物語的なノリは大人の静かなドラマではなく、
ドタバタコメディですが、『頑張る社会人の姿』と
『息抜きの食と謎の探求』が良い具合にマッチしていて、
「明日また生きるぞ!」と元気になれる物語も良かったです。



さみしい人

隠れファンである斎藤けん先生の作品です。
4巻で完結した『プレゼントは真珠』の感想も
いつか書きたいとは思いつつ至れてませんが、
今回の読み切りも、例外なく心に響いてきました。

意味深な回想から、主人公の倫子が会社を
クビになる場面から始まって、
それだけでも他人事ではない共感を持ちますが、
その理由がまた涙を誘います。
日々の仕事では、自己保身だけが生きていく術だ!
みたいな風潮を感じる瞬間が多々あるのに、
他人のミスを被ってまで自己犠牲するなんて。
でも、その裏には悲しい理由が…というお話です。

本作品、倫子と諒の物語としてまっすぐにも読めますが、
それぞれの母親に注目すると、また興味深いです。
まったく真逆の家庭を持ち、子の育て方も全然違うようで、
本質はすごく似てる気がしますし、
とあるセリフにはゾッとしました。悲しく背負う想いと、
子供を縛って離すことのできない業はどこへゆくのか。
どうにも続きが見逃せない物語でした。



次点で紹介すると、『田舎の結婚』もなかなか衝撃的でした。
プロローグの穏やさから一転、まさかのサスペンス的な
設定を裏に秘めたまま展開していくのですが、
ミステリーのようなどんでん返しもあって楽しめました。

ツッコミシーンとしても優秀な素材がありましたし、
オチまでばっちり決まっていて、完成度高いです。
『Ane LaLa』だからこその内容だったと思いますが、
もしこれが本誌月刊LaLaの読み切りで掲載されていたら、
2013年の読み切り大賞候補になったと思いますね。



すでに次号が9月5日発売と決定してる様なので、
今から楽しみです。月刊LaLaを毎月購読している方はもちろん、
「ヴァンパイア騎士終わって読む漫画ないわー」と退屈な方、
普段は少女漫画をあまり読まない大人の男女まで、
試しに読む価値はある新増刊だと思うので、ぜひぜひ。

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