月の騎士の戯言

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zoom RSS 白LaLa(2012年12月号)感想

<<   作成日時 : 2012/11/17 09:40   >>

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2012年トリコロールLaLaの第3弾、白LaLa感想です。







トリコロールLaLa最終章にして、ちょうど1年ぶりの白LaLaです。
去年の白LaLaは読む前、「ピュアラブをテーマに掲げる物語に
天邪鬼ロンリーの心はついていけるのか?」と無駄に心配しましたが、
それは杞憂に終わる素晴らしい内容でした。

今年もそれに負けず劣らず、強力ラインナップです。
やさぐれた心を癒すピュアファンタジーであっても、
そこはLaLa。単に甘ったるいだけの物語ではありません。
純白の白に染め上げるまでの過程や結末は、
厳しく切ない幻想と現実に満ちています。

読んだこともないのに「けっ!少女漫画なんてくだらんよ!」
とか言ってる(思ってる)人を見かけたら、
無言でこの本を差し出してあげればいいと思います。
免疫のない人ほど不意にノックアウトされるのではないかと。

そんなわけで、心を時に優しく切なく抉りながら癒してくれた
作品の中から、今回も10作の感想を書きます。




〜天の花の国の神話〜


斎藤けん先生が白LaLaでしかも巻頭カラー!?
と、読む前は期待半分、不安半分に思ってました。
斎藤けん先生の作品は感動のピュアファンタジーというよりも、
心を抉るリアリスティックなヒューマンドラマであって、
白LaLa的な作品のイメージを持っていなかったからです。
おまけに巻頭カラーでは荷が勝つのではないか。
私好みの作風であることは確信して支持するけど、
LaLaで長期連載を持たれたことはないみたいだし、
あまりにも冒険的な選択肢であるように感じたのです。

とまあ、そんな失礼な猜疑心を抱いてしまったのですが、
読み終えて、白LaLaの巻頭カラーに掲載されたことが
スッキリと納得しました。あっという間の70P。
文句なしに今回の最優秀作品賞です。

この衝撃は昨年掲載された樋野まつり先生作
「私と不機嫌なパン屋さん」に匹敵します。
あれは『就活中で疲れた女子』『無愛想な男(おじさん)』『パン屋』と、
共感できる要素が全て揃ってたのに加えて、
ヴァン騎士みたいな救いを捨てたブラックダークな作品
からのギャップにノックアウトされたのですが、今回もまさにです。


この作品が素晴らしいのは、物語そのものは、
超どシリアスで明確な救いがないにも関わらず、
白LaLaテイストの作品として完成されてること
です。

おまけにヒロインの相手役であるガルドの顔は、
一切描かれません。(回想シーンで少しだけ出ますが)
そしてヒロインのリリとガルドは、互いに惹かれ合ってはいても、
最初から最後まで心はリンクしてないと思います。
二人の住む世界が違うことは会話の端々から伺えますし、
リリが踊るシーンでガルドが考えてることは、
決定的に埋まらない溝を示しているように思います。

それでも黒でも青でも赤でもない。間違いなく『白』、
『感動のピュアファンタジー』として読めるのは、
斎藤けん先生の技巧の賜物でしょう。
これだけでも買って読む価値はあります。
普遍的な愛や日常の汚れに疲れた方は、
こういう話を読んで、泣くことで浄化されましょう。


そんなすんばらしい感動巨編を描いておきながら、
「最近感動したもの」について斎藤けん先生の答えは、
「マルちゃん正麺」って!

これだけの感動巨編を描きながら、
感動がインスタント麺ってどういうことですか!
もう少しオシャレに、せめて女子らしくいきましょうよ!
と、正直言って苦笑いが漏れてしまいました。
とはいえ実際に食べたこともないのに、
「たかがインスタント麺」となめ腐るのも失礼な話。
斎藤けん先生がわざわざ書くなら…と、試しに食べてみましたよ。

うん、これは本当に美味いね。

「感動したこと」に書かれる気持ちが分かってしまいました。
スーパーなら一束100円未満で売ってると思いますので、
宜しければ試しにぜひぜひ。野菜などをぶちこむと
さらにグッドな一品として召しあがれると思います。
物語は日常を離れた幻想的なファンタジーで、
欄外では庶民的感覚の小話を載せる。
そのギャップあるセンスにも惚れますね!




〜帰り花の彼女〜


簡潔に表すと「猫の恩返し」的な話です。
田中メカ先生といえば、キスよりも早くや11月号の読み切り作から、
少女漫画らしい王道の中に、コミカルな演出、ステキなメンチ顔、
さばさばした不器用感などを交えて、
男でも読みやすい作品を描くイメージですが、
今回は絵柄を活かして、ピュアに特化した内容です。
短い話で、内容はそんなに深くはないですが、
猫好き、頼りないショタ好きにはたまらん内容だと思います(笑)




〜贖罪の森〜


LaLa増刊号シリーズより斎藤けん先生に並んで
赤丸急上昇で注目してる林みかせ先生作です。
絵柄はティーンよりもさらに下の世代にも通じるような、
ふわふわしたゆるやかな少女漫画タッチなのに、
描かれてるストーリーの切れ味は大人向け

そして前半はゆるやかなストレートに展開させておいて、
中盤から終盤にかけて急速に速く落ちるフォークのような
落差とギャップのある物語を描かれるのが魅力的です。

今回の作品も、女子修道院に生きるシスターが
ヴァンパイアを匿いながら交流を深めていき…、
そこまでは、まぁよくありそう(想像できそう)な話です。
しかし、シスターの過去と罪が驚くほどヘビーで、
むしろヴァンパイアがフォローする側にまわるほど。
見た目はほんとうにか弱そうな女の子が、
自己の存在意義を疑いながら生きるなんて。
40ページの中に濃密なストーリーテラーがなされてます。

それから「最近感動したもの」についての答えも、
斎藤けん先生と並んでインパクト大です。
「まるちゃん正麺」はずっこけの面白さと、
いざ食べたら本当に美味しいギャップが最高ですが、
林みかせ先生の答えはとにかくシブくてステキです。




〜お伽話、ひとつ〜


『お伽話』と『偽りの話』の違いってなんだろう?
そんな哲学的なテーマを持って描かれたわけ
ではないと思いますが、なぜだか深く考えたくなる
不思議な話でした。優しいハーブティーのような作品です。
「どんなに苦しい時があっても心が負けなければ
いつかは必ず乗りこられるはずです。
お伽話はいつだってそうでしょう?」
のセリフも妙に心に響いて良かったです。
これは白LaLaのテーマ全般に合致する言葉ではないかと。

興味深いのは、一昔前は囚われの姫のもとに
やってくる勇者(冒険者)の構図が一般的だった(DQ4的な)
のに、王子様に会いに来るお姫様の話にも違和感なしです。
草食系男子、肉食系女子なんて言葉が出てくるわけだ。
あと、タイトルのセンスが良いですね。
言ってしまえば、その点「天の花の国の神話」は
タイトルだけ、いささか覚え難いし言い難いのが…。




〜中一プロブレム(白編)〜


ボーズラブ!!!でお馴染み(というよりこの枕詞がお馴染み)
マツモトトモ先生の中一プロブレム3部作完結編です。
今回も現実にありそうでなさそうなセリフを駆使した、
マツモトトモ節がこれでもか!と炸裂しております。
内容はオチまで含めてそんなに奇をてらってない
(だけど一つや二つくらい、誰にでもばれたくない
ナイショってあるものだから〜♪な話)
のですが、どうしてもマツモトトモ先生が描くと、
全然普通じゃない雰囲気になるのが不思議ですね。




〜天国の恋人がまってる〜


某シーンによって当ブログで伝説扱いにしてる
『きゃらめるBOY』の作者さんと知って、
ネタ的な意味でワクワクしながら読みました。

ところが、それは良い意味で裏切られました。
LaLaの主購買層となる今時ティーンの女子には
ちょっと感情移入が難しいかもしれませんが、
30代〜40代ぐらいの結婚して落ち着いた奥さんが読むと
抜群に染みる話
だと思います。
ただ、至って真面目な話でネタ的なシーンはないのに、
赤面顔だけは『きゃらめるBOY』に見えちゃいましたね(笑)




〜クロスワールド・ワルツ〜


独特の設定と科学的な用語が飛び交うので、
とっつきにくそうだったのですが、読み進めると
意外にもすぐに理解できて飲み込みやすかったです。
いわば、人間にとっての孤独と死を見つめる話ですね。
絵も物語も王道だからこそ、小難し気な設定を上手く丸めこみ、
安心して読める作品になっていて良かったです。




〜いつかのメッセージ〜


失恋して図書室に閉じこもった男子が
「第二図書室の主」と勝手に噂され、
誰にでもすぐに惚れてしまう女子が相談に訪れる。
しかし、主扱いされた男子はそんな女子を疎ましく思い、
邪険にするが……。みたいな導入から始まるのですが、
この設定だけで、「ああ、最初はうざかったけど
だんだん惹かれてくんだね」と予想される人は多いでしょう。

実際にそんな話です。(あっさりネタバレ)
ただし、この話にはもう一つのオチがあって、
そっちは実際に読んでも最後のページまで
想像できないかも
しれません。注意深く読めば
答えのヒントになる描写はいくつかあるのですが、
私は全く気付かなかったので偉そうには言えません(笑)
登場人物はファンタジーらしくなかっただけに
気持ち良く騙されましたね〜。




〜イノセントホワイト〜


これ1話の読み切りじゃなくて、LaLaの3話集中連載だったら
もっと面白くて深い話になったんじゃないか
と思いました。
二人の出会いから分かり合っていく過程に1話。
物語を掘り下げて設定と伏線を張るのに1話。
そして伏線回収からの結末とエピローグで1話。
物語の時間が7日間であった必然性も
3回に分けた方が時間の流れが実感できたんじゃないかと。

とまあ、それは素人の勝手な意見ですが、
1話読み切りでも、展開にメリハリがあってテンポも良く、
どんでん返しが効いているので面白かったです。




〜私のお稲荷さま〜


ちっ!下品なタイトルだ…!(ベジータ調で)

その想像が下品だよ!って感じですが、
思っちゃったんだからしょうがない…ってことで。
タイトルはともかく本編は上品で感動できる内容です。
いかにもファンタジー的な設定ではあるのですが、
それよりも現実的に「無償の母子愛」とは何か?
を考えてしまいました。子供を虐待する親に読ませたいです。
ラストの展開については、これが「白LaLa」掲載だからか
素直に受け入れられましたね。




最後に、去年の黒LaLaから今回の白LaLaに至るまで、
計5冊分のLaLaを集めた写真を記念に掲載します。



画像




これだけで本棚の1フロア分を占拠してるほどの厚みです。
いずれは処分しなければならないでしょうけど、
そうするには勿体ない傑作揃いの短編集だと思います。
斎藤けん先生、林みかせ先生は、この増刊号で名前を知って、
特にハマってコミックスも買っちゃいましたし、
他にも5冊の作品から共通点を探してみたら面白い考察になるかも。

それではまた来年もこのような増刊号が、
何らかの形で発売されることを楽しみにしつつ。

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