月の騎士の戯言

アクセスカウンタ

zoom RSS アニメ・小説感想:あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。

<<   作成日時 : 2012/08/28 09:31   >>

ナイス ブログ気持玉 8 / トラックバック 0 / コメント 0

この季節にピッタリな作品(アニメ・小説)を。


ヴァンパイア騎士小説の筆が進まないと頭を抱えていた傍ら、
気晴らしに書きました。小説に比べて、この手の感想やレビュー評は書きなれてる分、
スラスラ筆が進むのです。トリッキーなネタを考えて頭を悩ませる必要もないし。











本作品は2011年の4月に放送されたアニメオリジナル作品です。
私が見たのは去年から今年にかけての冬頃でした。
口コミで知って、軽い暇つぶしで見始めたら、一気に全話見てしまいました。
小説版の下巻が今年の8月に発売され、来年の夏には映画化も決定したり、
他にゲーム化、漫画化もされたりして、各種のメディアミックスも多彩です。

知ってる方にとっては「今更あの花かよ!」かもしれませんが、
知らない方で、「子供の頃は夏休み楽しかったけど今は何も面白いことないわ〜」
みたいな日々を過ごしてる方には特にオススメ
できます。
もちろん今現在、残り少ない夏休みを絶賛満喫中な方もぜひ試しに。
年代的には高校生〜大学生ぐらいの世代がドンピシャリだと思いますが、
若手の社会人から、子供時代が懐かしいアラサー、アラフォーまで楽しめるはず。


どなたにも、心に刻まれた良い思い出、振り返りたくない苦い思い出、
甘酸っぱい思い出、切ない思い出と、様々な記憶があると思いますが、
「あの花」では、時に温かく、時にシビアに、時に微妙な感情のまま、
「あの日」以前と以後の思い出や、それぞれの後悔を揺さぶる物語です。

この作品について「どんな作品?」と聞かれた際に、
「泣ける作品」と称する人は多いかもしれませんが、
私はあえて「泣ける作品」とは言いません。(それでも概ね合ってますが)
演出としては、明らかにそれを狙ってる風なシーンも多々あるのですが、
言ってしまえば、私の泣きツボとはちょっとポイントがズレてました。
「泣ける作品」としてよりも、「あの日を省みる作品」として紹介したいです。




あらすじの一部を、wikipediaよりそのまま引用します。


幼い頃は仲が良かった宿海仁太、本間芽衣子、安城鳴子、
松雪集、鶴見知利子、久川鉄道ら6人の幼馴染たちは、
かつては互いをあだ名で呼び合い、「超平和バスターズ」という名のグループを結成し、
秘密基地に集まって遊ぶ間柄だった。
しかし突然の芽衣子の死をきっかけに、彼らの間には距離が生まれてしまい、
それぞれ芽衣子に対する後悔や未練や負い目を抱えつつも、
高校進学後の現在では疎遠な関係となっていた。

高校受験に失敗し、引きこもり気味の生活を送っていた仁太。
そんな彼の元にある日、死んだはずの芽衣子が現れ、
彼女から「お願いを叶えて欲しい」と頼まれる。(中略)
それをきっかけに、それぞれ別の生活を送っていた6人は再び集まり始める。




アニメ版も小説版も細かい描写のクオリティが高いです。
起こる出来事の過程、順序、細かいエピソードは多少違いますが、
ストーリーはほぼ変わりません。順序としては、アニメを見てから小説を読む方が、
個人的には分かり良いと思いますが、小説から読んでも何ら問題はないです。

アニメ版は全11話。小説版は上下巻に分かれていますが、
ページ数や文体はとても読みやすくまとまっているので、
どちらも手頃に見て(読めて)楽しめる質量だと思います。
サブエピソードの描写はアニメ版の方が丁寧で、
ラストの描写については小説版の方が感情移入できました。



この作品、やろうと思えば実写化も可能だとは思いますが、
(というか、昨今の実写化事情は、どう考えても無理がありそうな作品すら、
平気で実写化させてる嫌いがあるので、それらに比べれば作りやすい部類に入るかと)
本間芽衣子ことめんまの扱いは、フィクションだからこそ違和感なく演出できるものです。

絵は最近のアニメらしく、アニメならではの表現も多分に含まれてはいるので、
普段はアニメをあまり見ない人にとっては、最初は違和感を感じるかもしれません。
が、2話ぐらいまで見てしまえば、そのアニメ的な絵や表現が、
めんまを巡るストーリーと嫌味のない演出に溶け込んで調和されるはず
です。
(当ブログをご覧の方は、その手の免疫が事前にある程度備わってると思いますが)

私も最初はいかにも萌えを狙った感のある、めんまのキャラに若干たじろぎましたが、
次第に全く気にならなくなりました。というか、ストーリーを理解していくにつれ、
めんまのキャラが現実から乖離しているアクセントとして機能してることに気付くのです。
この作品が極めて上手いと思うのは、そういっためんまの扱い方ですね。




その他、特筆して作品の魅力になっていると思った点を他を幾つかあげます。


まずはアニメ版のオープニングとエンディングです。
最近気付きましたが、面白いと感じたアニメはそれに比例するように、
大抵オープニングかエンディングのどちらかあるいはどちらもが良いです。
オープニングとエンディングは最低だけど本編はすこぶる面白い作品を挙げろ
と言われても、すぐには出てきません。

この作品も例外なく、オープニング、エンディングどちらもベストマッチしてます。
特にエンディングのZONEをカバーした『secret base 〜君がくれたもの〜』は、
リアルに10年前の8月、夏休みの最中にキッズ・ウォーを見ていて、
私の脳内にジャストフィットして記憶されていた青春ソングかつ、
第1話のラストシーン、曲が流れ始めるタイミングが抜群すぎかつ、
この曲がエンディングテーマと知らなかったので、「泣ける作品」とは意図違いながら、
あわや涙腺崩壊に陥りかけるほど心に響きました。



それから作品全体の背景とテーマです。
登場人物達が振り返って省みる時代が「小学生時代」なのは大きいポイントです。
これが中・高・大学生時代の思い出を振り返る作品だったら、
そもそもテーマが随分と違った(めんまの扱い然り)でしょうし、
自己の青春と引き合わせた時に、どうしたって暗い引け目を感じてしまうところでした。
これは私自身のさじ加減でもありますが、実際に年齢が上がるほど、
選択肢も悩みも増え、各個人が味わう青春の格差は広がる一方だと思います。

しかし、小学生時代ならば、無邪気に過ごしていた思い出に、
妙なひねくれた感情を交えず、幼き頃の記憶に浸れるのです。
高校生だって、社会人も4年目になった今にしてみれば、
十分に青春を味わう、幼く淡い時代にも思えますが、
やはり小学生の幼さと、高校生の幼さは決定的に違います。



主人公である仁太の立場と心境も、物語に感情移入できた要因でした。
全国の自称「子供の頃はそれなりに優秀だったけど堕落しちゃった奴」
には、仁太は良い意味で相当イタイと思います。ご多分に漏れず私もその一人です。

仁太が堕落したのは、めんまのこと然り、お母さんのこと然り、
理由付けすることはいくらでも可能なのですが、
小説版ではそんな同情の声に対する嫌悪と、
自分自身のどうしようもない空虚な焦れが表現されていて、
これが非リア充を自認する人は必ずや激痛になって染みるでしょう。

加えて、仁太のお父さんも絶妙に良い味出してますね。
初めてアニメを見た時は、「変なおやじさんだな」程度の印象でしたが、
小説で改めて仁太の心情を汲み取った上で、お父さんの行動に注目すると、
目立たないながら、要所で気の利く役回りをしていることに気付きます。
仁太がトラウマを背負ったり、人生に挫折した時も、ヤンキーにはならなかったり、
無愛想でもお人好しだったりするのは、このお父さんが居る影響が大きいと読み取れます。



最後に細かい点ですが、特にグッときたシーンを。

どちらも、仁太と鳴子の交流関連なのですが、
1つは、序盤に仁太がめんまの願いとして思いついた、
伝説のノケモン(※誰もがご存知あのゲーム。しかも名称の皮肉が効いてる)
を鳴子と協力プレイする場面。思い出プレイバックとしてはベストの名シーンです。
もう1つ、中盤に久しぶりに高校へ登校した仁太が、鳴子が受けた誤解を見てられず、
授業中に思わず叫んだシーン。これも青春プレイバックな名シーンです。

この作品の最大のテーマは『めんまの願いを叶える』ことですが、
仁太と鳴子のラブコメだけでも、この作品はある種成り立ちますし、
この記事には詳細を書きませんが、松雪集、鶴見知利子、久川鉄道、
3人それぞれの思いとトラウマも根深くて、それらを主要テーマにもできます。
そんな様々な思い出とトラウマと今が絡むことで、
分かりやすく単純なはずの物語に、青春群像劇的な厚みが生まれているのでしょう。



夏も終わりが近づいてる中、何か心が物足りないと感じる方は、
ぜひぜひ試しに「あの花」の世界を味わってみて下さい。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 8
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
アニメ・小説感想:あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 月の騎士の戯言/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる