月の騎士の戯言

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help リーダーに追加 RSS (小説)みんなの合コン 序章:クリス・サファイア・ジョンソンの場合

<<   作成日時 : 2008/08/28 08:22   >>

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※この物語はフィクションであり、登場する人物のキャラ設定は架空の物です。


序章1



・・・なぜ、こんなことになってしまったのだろうか。

道を歩きながら彼女・・・いや、彼は考えていた。

クリス:(どうしよう・・・)

インターネットという媒体では、基本的に相手の顔が見えることはない。
同時に、自分の顔、個人情報が相手に分かる事もない。
だから、その場で詐称をするのは簡単なことであるし、すぐにばれる可能性も低い。

当然、性別も。

クリス:(本当のことを知ったら怒っちゃうだろうしなあ・・・)

昔から、容姿が女の子と間違われることが多く、ネットでもふざけて装ったのが始まりだった。
昔からと言っても、クリスはまだ若干10歳であり、こうしてインターネットを駆使していること自体、
10年前にはとても考えられなかった現象である。

年齢は嘘偽り無く申告していたため、姿を見られても、すぐにばれない自信はある。
年齢的にも、わざわざ女の子らしい服装をする必要もなく、騙し通せる自信もあった。

こんな少年ですら、性別を偽り、対等の立場で、今回のイベントに参加するのだから、
古い考えをする人にとって、ネットというのは、黒船のような存在に思えるのも無理はない。

しかし、だからと言って、ばれるかもしれないリスクを背負ってまで行く必要はあるのか。

クリス:(ばれたら本気で謝るべきか、笑ってごまかすべきか・・・)

言うまでもないが、クリスの目的は合コンではない。
ただ、どうしてもあの人とは会ってみたかったのだ。

女の子を装っていた彼にとって、最も近く、親しく、実の姉のような彼女に。

近くまで母親の車で送ってもらったため、歩く距離はそう長くはなかった。

次の角を曲がれば、いよいよ「女の子」を始めなければならない。
クリスは、大きく深呼吸をした。




・・・なぜ、こんなことになってしまったのだろうか。

タクシーに乗りながら彼女は考えていた。

サファイア:(た、タクシーに乗るなんて・・・何年ぶりかしら・・・)

運転手:お客さん、凄い格好だね。
お金持ちなんでしょ?いいな〜、羨ましいな〜。

サファイア:そ、そうよ。オホホホホ。

運転手:よかったら、お勘定少し弾んで下さいよ〜。なーんてね。ワハハ!

ベタ過ぎる金持ちキャラを演じてはいるものの、
実際のところ、彼女は金持ちでも何でない、ただの苦学生だった。

ネット上で、セレブを演じてしまっていたため、無理をしてこんなことをしているのだ。
セレブが電車で向かうわけにはいかない。

どこかで参加者と乗り合わせてしまう可能性もゼロではない。
隣のあの子が実はあの子で、足なんかを踏まれて、バッタリ出くわし、
「あー、さっきの!」という、ありえないベタな出来事が起こらないとも限らないのだ。
現に、今頃どこかでは、それに類似する事が起こっている。それはまた別のお話であるが。
とにかく、そんな安っぽい見栄をはるために、こうしている。

サファイア:(あの子の前だけでは、安っぽい女に見られるのだけは避けなきゃ・・・)

あの子とは、シュンペイのように意中の彼(彼女)というわけではない。
皆さんお気づきの通りの、あの「子」である。何のひねりもなく。
サファイアは、あの子に対し、ネット上で、随分お姉さんぶって接していた。
あの子も、それを望み、楽しんでくれているようで、嬉しかった。

サファイア:(本当だったら、こんなイベント参加するわけないけど、
あの子とはどうしても1度会いたかった)

サファイアの脳内では、フリフリのスカートで、麦藁帽子をかぶり、
輝かしい笑顔で笑っている美少女のイメージが出来上がっていた。

サファイア:(早く会いたい・・・)

運転手:しっかし、あっついねえ!
この暑さじゃ、おじさん家じゃパンツ一枚だよぉ〜。
かみさんに、「あんたの腹どうにかしなさいよ!」なんて言われちゃってね!
娘も10歳になるんだけど、「お父さんキラ〜イ!」だってさ。
寂しいもんですよ〜。ワッハッハ!
いいなあ、お嬢さんのお宅は、全室クーラーなんかあったりするんでしょう!?

サファイア:え・・・ええ・・・そ、そうね。

あまりに品のない話に閉口したものの、実際の彼女の家にはクーラーなどなく、
このおっさんの格好を馬鹿にもできない姿で、毎日を過ごしている自分を思い浮かべ、
意味も無く赤面してしまった。

運転手:もうすぐ着きますよぉ。あ、チップはたったの1000万でいいですからね!
なーんちゃって、アッハッハ!

この人が、彼女のお父さんではないことを、サファイアは願った。




・・・なぜ、こんなことになってしまったのだろうか。

バイクで疾走しながら彼は考えていた。

ジョンソン:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

ひたすら考えていた。

ジョンソン:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

遮二無二、考えていた。

ジョンソン:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

考えていて、スピード違反で取り締まられた。

ジョンソン:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

警察官:こ、今回は見逃しますが、これからは、もう少し抑えて走って下さいよ。
(こ、こえー。なんだこいつ・・・。身長何mあるんだよ・・・。暴れ出さなきゃいいけど・・・)

ジョンソン:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

目的地はもうすぐ。



以上が、これから始まる物語前の一幕である。

シュンペイの下心基、純粋な恋は実るのか?

ナツミの抱える秘密とは何か?

ブルームは最後まで、本当の自分を悟られずに済むのか?

クリスは性別をごまかしきれるのか?

サファイアは金持ちキャラを演じきれるのか?

ジョンソンは喋るのか?

6者6様の思惑を胸に、合コンオフ会が始まる。

ラブコメになるのか、シリアスになるのか、ミステリーになるのか。

誰も知らない。筆者も知らない。そもそも合コンすら知らない。

そんなこんなで、はじまり、はじまり。




※あとがき

これにて序章という名目の、キャラや舞台設定は終わりまして、次回から本編に入ります。
今後の投稿日程につきましては、9月上・中旬ぐらいの投稿を始まりにし、
そこからは2週間に1回ぐらいのペースで投稿する予定です。

全何回になるか分かりませんが、今年中には終わるでしょう。
一応結末だけは既に考えてあるので、後は中身をどれだけ広げられるかですが・・・。
あんまりダラダラ長くするつもりはないですし、場合によっては、
打ち切り決定後の漫画のような、ハイテンポで進む可能性もありえます。
途中グダグダになる可能性も否めませんが、読んで頂ければ幸いです。

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